講演情報
[09コ-ポ-41]バスケットボール競技のシュートの精度と遠投力の関係大学男子バスケットボール選手を対象に
*中嶽 誠1,2、木藤 友規1,2、青木 和浩1,2 (1. 順天堂大学スポーツ健康科学部、2. 順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科)
バスケットボールでは、ボールを遠くへ投げられる選手ほどシュートの精度が高いのだろうか。運動課題において速度と精度との間にはトレードオフの関係がある(Fitts, 1954)というフィッツの法則が知られているが、発揮筋力が大きくなるに伴って生体信号に加わる信号依存ノイズが大きくなる(Harris & Wolpert, 1998; Jones et al., 2002)ことが、その原因の一つと考えられている。フィッツの法則がバスケットボールのシュート動作でも成り立つのであれば、同じ距離からシュートする場合には、遠投力が高い選手ほど弱い力で投げることができるので信号依存ノイズは小さくなるために精度が増すであろう。この仮説を検証するために大学男子バスケットボール選手22名が本研究に参加した。参加者は、2種類の投げ方(ワンハンド、ボースハンド)で遠投を行った(遠投距離を記録した)後、3段階の距離(1.25m、4.22m、6.75m)からシュートを実施した。また、慣れている投げ方であるワンハンドシュートで、0.61kgから1.50kgまでの4種類の重さのボールを用いたシュート実験にも参加した。その結果、慣れているワンハンドの投げ方の方が遠投距離は長く、シュート成功確率も高かった。このとき、遠投能力が高い選手でシュート成功確率が高かった。また、ボール重量が増すにつれてシュート成功確率は有意に減少した。これらの結果は、より弱い力で投げられることがシュートの精度を高めることを意味する。本研究の知見は、シュート成功確率を高めるためには、シュート技術を高めるための反復練習だけでなく、遠投力に着目した指導も有効であることを示唆する。
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