講演情報

[13ア-ポ-03]肢体不自由児者の運動指導の合理的配慮検討における簡便な知能検査の活用レーブン色彩マトリックス検査活用の有効性について

*松浦 孝明1 (1. 国士舘大学文学部)
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肢体不自由児者は、上肢の運動機能障害が比較的軽度の者も球技等の運動に困難さを有するケースが多い。この運動の困難さは上肢の機能障害が主な要因と考えられるが、機能障害だけでなく認知特性がその要因となることが報告されている。本研究は肢体不自由者を対象として、簡便な知能検査であるレーブン色彩マトリックス検査(以下、RCPM検査)を実施するとともに、検査時の眼球運動を分析することで視覚認知の特徴を明らかにし、運動指導における合理的配慮の参考資料としてRCPM検査の有効性について検討することを目的とした。対象者は脳性まひのある成人男性3名(以下、脳性まひ群)と比較対照として障害のない成人男性3名(以下、対照群)であり、それぞれの年齢は22~36歳、最終学歴は大学卒業であった。
RCPMの得点は、脳性まひ群が25点、31点、35点、対照群は3名ともに35点であった。脳性まひ群の25点、31点は障害のない小学生を対象とした先行研究と比較すると小学校2、3年生の結果と同様であり、対照群に比較して低かった。形態や空間把握の困難さなど視覚認知の課題が推察される。また、検査に要した時間は脳性まひ群が300秒、600秒、265秒、対照群は179秒、200秒、205秒であった。RCPM検査は回答の速さを求める検査ではないが、脳性まひ群は対照群に比して1.3倍から3倍程度の時間を要した。RCPM検査中の眼球運動では、対照群が上方の模様を一度確認した後、下方の6つの選択肢を一度見て回答したが、脳性まひ群は上方の模様を確認した後、下方の選択肢と上方の模様を繰り返して見る特徴が認められ、この特徴がRCPM検査に時間を要する要因と思われた。以上の結果から、RPCM検査は視覚認知の特徴を把握する有効なデータとして用いることができ、運動指導時の適切な合理的配慮を検討するための参考資料として有効であると考えられた。

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