講演情報

[13ア-ポ-08]交流型クライミング体験の意味の探求参加者を対象としたインタビューから

*中道 莉央1、伊藤 相2、林 綾子1 (1. びわこ成蹊スポーツ大学、2. 東京外国語大学)
PDFダウンロードPDFダウンロード
NPO法人モンキーマジックが主催する交流型クライミングイベントは、障害の有無にかかわらず、参加者がともにクライミングを楽しむ活動として全国20の地域で展開されている。本研究の目的は、ここに集う多様な人びとがその体験の意味をどのように捉えているのかを明らかにすることである。混合研究法を参考に、①クライミングの魅力、②居場所感、②障害や生きづらさに対する感じ方の変化などに関するアンケート(有効回答210名)において、③に変化があったと回答した8名(肢体不自由3名、視覚障害2名、障害なし3名)を対象にその具体的内容を聞き取る半構造化インタビュー(60分程度)を行った。アンケートでは「クライミングを通して、多様な人びとがそれぞれのやり方でそれぞれの難易度の課題に取り組むという体験を共有できること」が明らかになっていたが、これに加え、「あきらめどころは自分で決める」という体験が「できないことも自分が主体者となって責任を取る」経験へと変わることで、リスクを冒す権利の獲得や障害の意味合いの変化につながり、日常生活における意思表明などにも影響を与えていることが示唆された。また、アンケートの「個人として『課題達成に向かう楽しさ』因子が生きづらさの軽減に有意な影響を与えていること」について、壁の支えなどにより自分の意思で自由に動き、自分の特性に合わせて自分のペースで自分の課題と向き合うこと、これを他者に見守られながら行うというクライミング体験は、「できた/できない」といった結果(Doing)のみに捉われることなく、「ここまで挑戦したわたし」という存在(Being)を再認識する経験につながっていることが示唆された。このことは、「『ありのままの自分らしさ』と『内なる自分とのつながり』因子が障害についての感じ方の変化に有意な影響を及ぼしたこと」にも説明を与える視座として確認された。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン