講演情報
[11教-ポ-08]体育の学習指導論の変遷に関する研究2016年以降の学習指導論に着目して
*成家 篤史1、石塚 諭2、阿部 隆行3 (1. 帝京大学、2. 宇都宮大学、3. 玉川大学)
成家・鈴木(2017)は戦後から2015年までの文献研究から体育の学習指導論は6期に分かれていることを明らかにしている。第1期は(1948年頃~1957年頃)学習者の話し合いを大切にし、そこから学習内容を生み出そうとした。第2期(1958年頃~1970年頃)では、学習者の話し合いを技能習得に向けさせ、確実な技能定着という視点から学習内容を生み出そうとした。第3期(1971年頃~1978年頃)から第4期(1979年頃~1999年頃)にかけては、一人一人の能力や興味に応じた活動が尊重され、その過程に学習内容を生み出そうとした。第5期(2000年頃~2010年頃)では、基礎・基本を習得したうえで、一人一人の能力や興味に応じたり、学習者同士が関わったりする中で学習内容を生み出そうとした。第6期(2011年頃以降)では、運動のおもしろさと学習内容を一体として学び、他者との関わりや運動の文脈との関係性を重視して学習内容を生み出そうとした。この研究では体育の専門誌に掲載されている論文を内容ごとに分類し、その掲載頻度を数値化することで学習指導論の傾向を整理した。他方、中央教育審議会答申(2021)では急激に変化する時代として「Society5.0時代」、「予測困難な時代」、「社会全体のデジタル化・オンライン化、DX加速の必要性」という3つの社会背景を述べている。このような社会において子どもたちに育むべき資質・能力として「自分のよさや可能性を認識」、「あらゆる他者を価値のある存在として尊重」、「多様な人々と協働」を挙げている。このような社会背景に対応するためには、成家・鈴木(2017)の研究で位置づけた体育の学習指導論の第6期以降の傾向を整理することが有益であると考える。そこで、本研究では第6期である2016年以降の体育の学習指導論を分析し、今後の体育についての考察を深めていく。
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