講演情報

[11教-ポ-30]駅伝要素を取り入れた長距離走授業の有効性に関する研究

*柴田 一輝1、大越 正大2 (1. 東海大学大学院体育学研究科、2. 東海大学体育学部)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【背景と目的】長距離走授業は「苦しい」「疲れる」といった忌避感から、運動意欲を高めにくい種目である。よって長距離走授業に関連する研究では、意欲や記録向上に焦点を当てたものが多く、学習指導要領が示す「競争の楽しさを味わうこと」に着目した研究は少ない。意欲を高め競争の楽しさを味わう工夫として「駅伝」形式の授業を行う例が見られる。本研究では、中学校の長距離走授業に駅伝要素(リレー形式、作戦立案、団体戦と個人戦)を取り入れている学校に着目し、この要素により、生徒の態度や長距離走授業に対する価値観にどのような変化がもたらされるかを明らかにする。【方法】対象とする授業は、中学校第1学年の長距離走で、授業の前半(第1~3回)は個々の記録向上を目的とした一般的な形式、後半(第4~6回)は駅伝形式で実施された。生徒には、小磯ら(2018)が作成した長距離走の態度に関する質問紙調査(5因子31項目)を前半と後半の授業後に実施し、各因子得点の変化を確認した。さらに、学習カードに記述された感想をテキストマイニングの手法を用い、共起ネットワーク図を作成して長距離走に対する捉え方や価値観等の質的な変化について検討した。【結果】態度に関する調査では、後半に「不快」の因子が高まり、中でも「その場限りの仲間にすぎない」、「自分勝手な行動がむき出しになる」の項目で高まりが見られた。一方、感想文の分析では、前半は「ペース」「タイム」など個人記録や挑戦に関する語が多く、後半では「応援」「楽しい」「協力」など、集団的・協働的要素やポジティブな感情と捉えられる語が新たに出現し、生徒の長距離走授業に対する捉え方の変容が見られた。その他、記録の上位・下位、苦手意識の高・低による比較・分析等、詳細は当日に報告する。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン