講演情報

[09コ-ポ-48]イングランド男女サッカーリーグにおけるプレー様相の比較分析

*鈴木 健介1 (1. 国際武道大学)
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男子サッカーと女子サッカーにおける競技特性の違いは、十分に研究が進んでいるとは言えない。近年、女子サッカーの競技レベルや注目度が国際的に高まりつつある中で、男女間におけるプレースタイルや戦術的傾向の違いを明らかにすることは、性別に応じた戦術設計や評価指標の構築において重要な課題である。そこで本研究は、男女トップリーグのプレー様相を比較分析することにより、それぞれの特性を明らかにすることを目的とした。分析対象は、2024/25シーズンにおけるイングリッシュ・プレミアリーグ(EPL)全20チームおよびウィメンズ・スーパーリーグ(WSL)全12チームとし、Wyscoutにより収集されたパフォーマンスデータ計73項目を使用した。男女間の比較にはt検定、フィッシャーの正確確率検定を用い、さらに男女別に勝ち点との相関分析を行った。結果として、女子は前半の得点生起率が高く、男子は後半の得点生起率が高かった。女子ではミドルサードおよびファイナルサードでのボール奪取生起率が高く、ディフェンシブサードでのロストが多かった。男子はディフェンシブサードでのボール奪取生起率が高く、前方へのパス成功率も女子より高かった。相関分析では、女子においてファイナルサードでのボール奪取生起率と前方パス成功率が勝ち点と正の相関を示し、ディフェンシブサードでの奪取は負の相関を示した。また男子では、フリーキックやPKによる得点が勝ち点と正の相関を示し、セットプレーの流れによる失点は負の相関を示した。これらの結果から、男子ではセットプレーを確実に得点に結びつける決定力や、セットプレー後の二次攻撃に対する守備構築の質が、勝敗に繋がる可能性が示された。一方、女子では前線からの守備の質や前方へのパス精度が勝ち点に結びついており、高い位置でのボール奪取や、前方へのプレーの質が勝ち点に寄与していることが示唆された。

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