講演情報

[09コ-ポ-50]15人制ラグビーの防御局面に関する戦術研究N大学にける実践的検証

*廣瀬 恒平1、髙橋 仁大2 (1. 尚美学園大学、2. 鹿屋体育大学)
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ラグビーに関する戦術研究はこれまで活発に行われてきたとは言い難く、その要因として、戦術を実証的に研究する方法論が未発達であったことが指摘されている。またラグビーにおける実践的な研究には、トレーニングを対象にその効果を検証したものは散見されるが、戦術を対象とした実践研究はごくわずかである。発表者はこれまでラグビーの防御戦術に着目し、ゲームパフォーマンスとプレー成功要因との数量的な関連性について継続的に調査してきた。そこで、これらの先行研究を基にした防御戦術を対象チームに導入し、導入前後のゲームパフォーマンスの比較から、戦術の有効性を検証することを本研究の目的とした。分析項目はラグビーのゲーム構造における前進および圧力に相当するタックル発生前後の様相を調査する内容とし、プレーの成否およびゲームへの影響を検討した。まず戦術の遂行状況に着目すると、タックルヒット部位において、相手の下体へのヒット比率が有意に増加した。他方、相手に対して複数で働きかけるタックルアシストに関して、発生比率に有意な変化は認められなかった。タックル発生位置については、ゲインラインを基準に相手陣地での発生比率が有意に増加した。次にプレーの成否に関して、相手に対して最初に接触した選手のタックルにおいて、相手に押し込ませずに倒した比率が有意に増加し、倒したが押し込まれた比率およびタックルを外された比率が有意に減少した。タックルアシストに関しても、同様の結果が得られた。最後にゲームへの影響として、相手によるゲインラインの突破を阻止した比率、またプレーの開始から終了までに相手陣地方向へ移動した比率が有意に増加した。以上の結果から、概ね導入した戦術の遂行が認められ、プレーの成功率が向上し、ゲームに正の影響を及ぼしたと推察されたことから、一定程度の戦術の有効性が示唆された。詳細は学会大会にて報告する。

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