講演情報
[09コ-ポ-54]女子バスケットボールのメンバーチェンジにおける個別最適な心理状態とその類型
*酒井 佑1,3、谷口 ちゆき2、雨宮 怜3、坂入 洋右4 (1. 筑波大学 人間総合科学学術院 体育科学学位プログラム、2. 清泉女学院中学高等学校、3. 筑波大学 体育系、4. 常葉大学 教育学部)
人がベストパフォーマンスを発揮する際の至適な心理状態は、個人、種目、状況ごとに異なると考えられている(坂入, 2022)。本研究では、女子バスケットボールのメンバーチェンジにおける個別最適な心理状態を類型化し、各類型に属する選手の特徴を検討することを目的とした。調査対象者は、大学女子バスケットボール部に所属する部員179名(20.13±1.42歳)であった。調査内容として、選手の年齢、競技歴、競技力、ポジション、メンバーチェンジ時にプレッシャーと感じるピリオドおよび試合状況に加え、性格特性として日本語版Ten Item Personality Inventory(小塩, 2012)を取得した。さらに、過去のバスケットボール試合中において、メンバーチェンジ後のプレーがプレッシャーと感じた場面を想起させ、続けて、そのような場面において、ベストパフォーマンスを発揮した場面、ワーストパフォーマンスを発揮した場面の心理状態について、二次元気分尺度(Sakairi et al., 2013)を用いて調査した。また、ベスト―ワーストの各場面における、試合の規模を尋ねた。ベスト―ワースト場面における気分状態の差得点を用い、クラスタ分析を行った。その結果、ベスト―ワースト場面間において、気分状態の差異が少ない「平常心型」、ワースト時に覚醒度が低い「だらけ型」、ワースト時に覚醒度が高い「あがり型」が見出された。これは坂入(2022)の提唱を支持するものである。続いて、各クラスタを目的変数とした多項ロジスティック回帰分析を行った。説明変数間の尤度比検定を行った結果、開放性、ポジションが各類型を説明する変数であることが示唆された(ps<.05)。今後は、指導者などが選手個々人のベストパフォーマンスを発揮できる心理状態を理解し、性格特性やポジションの特徴を考慮したメンバーチェンジを行うことが有用であると考えられる。
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン
