講演情報

[09コ-ポ-62]志向倫理に基づくスポーツ・インテグリティ教材「Coach me」の開発と評価ジュニアアスリートを対象として

*安永 太地1、藤井 基貴2 (1. 早稲田大学スポーツ科学学術院、2. 静岡大学教育学部)
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競技スポーツではオンラインカジノや未成年飲酒・喫煙などの問題が生じ、スポーツ・インテグリティの重要性が指摘されている。これらの問題に対する教育的アプローチを整理すると、不正行為を抑制する「予防倫理」と、理想や価値を体現しようとする「志向倫理」の二つの理念的側面がある。先行研究によれば、従来のスポーツ倫理教育は「やってはいけないこと」を示す予防倫理に偏重しているといった課題が残る。そこで本研究では、志向倫理の視点からの教材開発を試みる。筆者らは既に中学生向けに志向倫理を軸としたスポーツ・インテグリティ教育を実践した(安永・藤井,2024)。一方で、小学生を対象とした教材や取り組みは十分とは言えず、発達段階に応じた教材やプログラム開発が課題として残されている。本研究では、小学生でも具体的に考えることができ、かつ取り組みやすい志向倫理に基づくスポーツ・インテグリティ教材「Coach me(コーチミー)」を開発し、同教材を使ったワークショップを実施して、その効果を検証する。同教材は、試合や練習の苦しい場面において、「どのような声かけ」が選手の心に響くかを「価値」と「コーチング」の両面から考えさせ、ゲーム形式で発表し合うものである。これにより、自身の「見方・考え方」を言語化させるとともに、多様な価値観に触れる機会を創出した。テスト実施として、全日本卓球ユース選手として活動するジュニアアスリートを対象に研修を実施し、事後アンケートを通じてその効果を検証する。本研究を通じて、志向倫理を育むインテグリティ教育の可能性を検討するとともに、アスリートの見方・考え方を指導者が把握し、日常の指導に活かすことを目指す。

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