講演情報

[03心-ポ-14]バーチャルリアリティを用いたボール追従時の頭部運動とタイミング予測の関係の検証

*原薗 迪子1、渡邉 諒2,3、井上 純輝1、中本 浩揮2、樋口 貴広1 (1. 東京都立大学大学院、2. 鹿屋体育大学、3. 日本学術振興会特別研究員(PD))
PDFダウンロードPDFダウンロード
スポーツ熟練者は,捕球動作時にボールの動きと連動させるように頭部を動かすことが報告されている。頭部回転運動に伴う感覚入力が,捕球のタイミング予測に有益であると考えられている。本研究の目的は,ボール追従時の頭部運動の貢献が,非熟練者にも当てはまるかを明らかにすることにある。捕球動作が苦手とされる発達生協調運動症者は,捕球動作時のタイミング予測精度が低いと指摘されている。本研究は,発達生協調運動症者のタイミング予測改善に頭部運動への介入が有益であると考えて着想した。実験参加者は一般成人26名とし, バーチャルリアリティ環境下で,フライボールの捕球課題を行った。実験条件は捕球条件, ボール消し-頭部自由条件, ボール消し-頭部固定条件とした。ボール消しの2条件ではボール射出直後のみボールを提示した。ボール消し-頭部固定条件では頭部運動を制限した。Head-ball angle(頭部角度とボール角度の差)とGaze-ball Angle(視線角度とボール角度の差),タイミング誤差を測定した。ボール消し-頭部自由条件とボール消し-頭部固定条件間で対応のあるt検定,捕球条件のHead-Ball angle,Gaze-Ball angleとタイミング誤差の間で相関分析を行った。結果として,ボール消し-頭部固定条件とボール消し-頭部自由条件のタイミング誤差で有意差はなかった。捕球条件では,Head-ball angleとタイミング誤差の間で相関があった。頭部固定によってタイミング誤差が変わらなかった理由として,ボール消去の影響が大きく, 頭部操作による違いを示せなかったと考えられる。捕球条件では, 頭部とボールの動きが連動している人ほどタイミング予測精度が高いことが明らかになった。ボールが見えている状況で頭部を動かすことは,タイミング予測に貢献する可能性が示唆された。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン