講演情報

[03心-ポ-22]スポーツにおける指導行動認知尺度の開発に向けた検討

*村上 弘通1、杉山 佳生2 (1. 九州大学大学院人間環境学府、2. 九州大学大学院人間環境学研究院)
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スポーツにおけるコーチの指導行動は、選手の動機づけや成果に大きな影響を及ぼす重要な要因である。自己決定理論(Self-Determination Theory: SDT)では、自律性・有能感・関係性という基本的心理欲求の充足が内発的動機づけや心理的健康を促進し、逆に阻害されると心理的不適応やモチベーションの低下を招くとされている(Deci & Ryan, 2000)。近年では、コーチの自律性支援行動が選手の心理的適応を高め、統制的行動が心理的負担や不適応を助長する可能性が示されており(Bartholomew et al., 2011)、こうした行動が選手の心理的プロセスに与える影響を包括的に理解する重要性が増している。こうした背景から、本研究では、自己決定理論に関連する文献の系統的レビューを通じて、スポーツ場面におけるコーチの指導行動研究の動向を整理し、その評価に用いられてきた尺度の構成や活用状況を明らかにした。分析の結果、自律性支援行動は主に Perceived Autonomy Support Scale for Exercise Settings(PASSES;Hagger et al., 2007)、統制的行動は Controlling Coach Behaviors Scale(CCBS;Bartholomew et al., 2010)により評価されていることが確認されたが、両側面を統合的に捉える尺度は依然として限られていた。また、伊藤(2016)は両側面を含む統合的な尺度の開発を試みたが、対象が中学生に限られていたことや、指導行動を網羅的に把握できていない点が課題として指摘されている。以上を踏まえ、本研究では、既存尺度の構成要素を活かし、自律性支援行動と統制的行動を統合的に測定可能な新たな指導行動認知尺度の開発の検討を目的とする。

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