講演情報

[03心-ポ-62]野球の審判員の心理的課題と対処行動に関する検討2024–2025年調査からの報告

*西貝 雅裕1、来田 宣幸2 (1. 太成学院大学高等学校、2. 京都工芸繊維大学)
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【緒言】スポーツ現場において審判員は、公正な試合運営を担う重要な存在であり、競技者と同様に高度な判断力と心理的安定性が求められる。特にアマチュアスポーツの審判員は年齢や経験、生活背景も多様であり、心理的課題やその対処には個人差が大きい。本研究は、野球審判員を対象に心理的課題とその対処行動の実態を明らかにすることを目的とし、2024年度に発表した研究に2025年2月までの追加データを加えて再分析を行った。【方法】2024年1月~2025年2月に「審判心理的スキル評価尺度」(村上ほか, 2017)を実施した野球審判員358名に対し、「困っていること・心配なこと」「自身の心理面」「心理面の向上・改善の工夫」の3点についてウェブ上で自由記述式質問を行った。【結果および考察】自由記述の分析から、審判活動における困難は大きく二つのカテゴリーに分類された。一つは「年齢・体力」「技術・知識」「心理的側面」といった個人内要因であり、加齢による集中力の低下、判定への不安、過度の緊張、ミスの引きずり、自信の欠如、SNSによる可視化の影響などが挙げられた。もう一つは「人間関係・コミュニケーション」「家庭・仕事との両立」「組織的課題」といった社会的・対人的要因であり、指導者や選手との関係、家庭や職場の理解不足、若手審判の育成などが含まれていた。特に心理的側面では、特に心理的側面に関しては、「緊張・不安」「ミスを引きずる傾向」「自信のなさ」「感情のコントロールの難しさ」「集中力の維持の困難」といった課題が明確に示され、大会規模や観衆の視線、他者評価への敏感さが影響していると考えられた。対処行動としては、「深呼吸」や「ルーティン」「イメージトレーニング」「自己暗示」などの工夫が多く報告され、審判員に対するメンタルトレーニングや個別支援の重要性が示唆された。

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