講演情報
[03心-ポ-66]大学生アスリートの認知的方略と心理的能力との特徴J-PATEAを用いて
*藤本 太陽1 (1. 大阪産業大学)
競技スポーツにおいて、「心・技・体」の調和が競技力発揮に不可欠であり、特に心理面は重要な要素とされている(石倉, 2008)。こうした競技場面で必要とされる心理的能力の強化には、メンタルトレーニング(MT)が用いられてきた。MTは、不適応な思考や行動、情動反応を適応的なものへと修正・変容させることを目的としている。しかし近年では、個人の望まない思考に意識を向けて変容を図る行為自体が、かえって不適応な状態を活性化させる逆説的効果をもたらす可能性が指摘されており(Wegner, 1994;木村, 2004)、個人の特性に応じた支援の必要性が高まっている。こうした個人特性の一つとして、認知的方略が注目されており、スポーツ領域においてもその有用性が検討されている(藤本,2023;高橋,2023)。しかし、認知的方略と心理的能力との関連については、十分に解明されていない。そこで本研究では、大学生アスリートを対象に、認知的方略と心理的能力との関連を明らかにすることを目的とした。調査対象者は大学生アスリート281名であり、調査内容は認知的方略尺度(外山,2015)、JISS競技心理検査(J-PATEA)(立谷ほか,2020)であった。分析の結果、認知的方略は悲観主義群(RP)、方略的楽観主義群(SO)、非現実的楽観主義(UO)、防衛的方略群(DP)の4群が抽出された。続いて、各群と心理的能力の特徴については、SO群とDP群は「自己コントロール」「目標設定」「自信」「自己分析」など多くの因子でRP群、UO群よりも高得点を示し、特にSO群は総合得点でも最も高い得点を示した。一方、UO群は全体的に得点が低く、心理支援の優先対象となる可能性が示唆された。
以上のことから、大学生アスリートの心理的競技能力を高めるには、認知的方略に基づいた心理支援が重要であることが明らかとなった。
以上のことから、大学生アスリートの心理的競技能力を高めるには、認知的方略に基づいた心理支援が重要であることが明らかとなった。
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