講演情報
[03心-ポ-70]サッカーの公式試合に伴うレフェリーの心理的変化
*高井 秀明1 (1. 日本体育大学)
レフェリーは、競技者や指導者とは異なる固有のストレスに晒されていることが予想されるが、実際の公式試合に伴う心理的な特徴について検討した研究はあまり見受けられない。そこで、本研究においては、サッカーのレフェリーを対象とし、公式試合の前後でどのような心理的変化がもたらされるのかについて調査し、その特徴を明らかにすることとした。調査対象者は、サッカーの公式試合を担当したレフェリー112名(男性104名、女性8名、20.08±1.07歳)であった。なお、調査対象者は、主審が32名、副審が58名、第4審判が22名であった。試合前後には、POMS2(Profile of Mood States 2nd Edition)の心理尺度の7尺度とネガティブな気分状態を総合的に表すTMD得点に回答させた。また、試合後には「審判活動」「試合での困難さ」「試合でのパフォーマンスの発揮」「試合での気持ちのコントロール」「試合での冷静さ」「試合での正しい状況判断」の7項目について5件法で自己評価させた。例えば、データの分析では、レフェリーの属性(主審、副審、第4審判)から試合前後でのPOMS2の各尺度とTMDの得点を比較検討するため、2要因の分散分析(属性:主審、副審、第4審判×タイミング:試合前、試合後)を行なった。その結果、属性の要因による違いはみられなかったが、タイミングの要因では違いがみられた。緊張−不安(TA)と活気−活力(VA)の得点は試合前から試合後にかけて有意に低下した。また、疲労−無気力(FI)の得点は試合前から試合後にかけて有意に高まった。したがって、本研究によって属性に関係なく、レフェリーはストレスに晒されていることが示された。
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン
