講演情報
[03心-ポ-74]複数選択肢下での適切な意思決定と正確な運動出力の両立を支える運動制御方略サッカーのインサイドキックを対象として
*三宅 麟太郎1、中本 浩揮2 (1. 鹿屋体育大学大学院、2. 鹿屋体育大学)
オープンスキル競技(例:サッカー)では、運動遂行中であっても時々刻々と変化する環境に伴い最適な選択肢が変化する中で、適切な意思決定と正確な運動出力の両立が求められる。そのため、熟練者は運動遂行中でも選択肢を柔軟に切替可能な運動制御を採用するはずである。この切替可能な運動制御は、複数の選択肢に対応可能な運動準備段階の共通動作を利用することで実現され、厳しい時間制約下でも判断時間を延長できると考えられる。そこで、本研究では、運動準備局面に着目し、未来事象が不確定な環境下において運動出力の柔軟な切替を可能にする運動制御方略を明らかにすることを目的とした。
実験参加者は男子大学サッカー選手10名とした。実験課題は、右前方(R)および左前方(L)に設置された標的を狙ったインサイドキックとし、キック方向が事前に確定している「確定条件(C)」と、キック動作中にキック方向が変更される可能性がある「不確定条件(U)」の2条件を設定した。試技中の身体およびボールの運動を光学式動作分析装置で計測し、体幹・下肢のキネマティクスを算出した。なお、左利きの選手については、得られた座標値の左右成分を反転させ、右利きの選手として分析を行った。
主要な結果として、軸脚踏み込み時の骨盤の姿勢はLC条件と比較して他の3条件(RC、RUおよびLU条件)が有意に右回旋位であった(all, p < .001)。右脚でのキック動作では軸脚接地後、蹴り脚のスイングに伴い骨盤が左回旋するため、通常の運動準備では右方向の標的への運動修正が困難となる。したがって熟練者は、スイングによる骨盤の左回旋を考慮して踏み込み時に右回旋位の姿勢を取ることで切替可能な制御を実現していたと考えられる。このような切替可能な運動準備は、動的かつ時間制約のある環境下において、正確な意思決定を実現するために判断をぎりぎりまで遅らせることを可能にすると思われる。
実験参加者は男子大学サッカー選手10名とした。実験課題は、右前方(R)および左前方(L)に設置された標的を狙ったインサイドキックとし、キック方向が事前に確定している「確定条件(C)」と、キック動作中にキック方向が変更される可能性がある「不確定条件(U)」の2条件を設定した。試技中の身体およびボールの運動を光学式動作分析装置で計測し、体幹・下肢のキネマティクスを算出した。なお、左利きの選手については、得られた座標値の左右成分を反転させ、右利きの選手として分析を行った。
主要な結果として、軸脚踏み込み時の骨盤の姿勢はLC条件と比較して他の3条件(RC、RUおよびLU条件)が有意に右回旋位であった(all, p < .001)。右脚でのキック動作では軸脚接地後、蹴り脚のスイングに伴い骨盤が左回旋するため、通常の運動準備では右方向の標的への運動修正が困難となる。したがって熟練者は、スイングによる骨盤の左回旋を考慮して踏み込み時に右回旋位の姿勢を取ることで切替可能な制御を実現していたと考えられる。このような切替可能な運動準備は、動的かつ時間制約のある環境下において、正確な意思決定を実現するために判断をぎりぎりまで遅らせることを可能にすると思われる。
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