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[03心-ポ-76]フェイント対処時の脳内情報処理電流源密度推定法を用いた運動準備電位による検討

*木村 勇大1、正木 宏明2 (1. 早稲田大学大学院スポーツ科学研究科、2. 早稲田大学スポーツ科学学術院)
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オープンスキルスポーツでは相手のフェイント動作に対して素早くかつ正確に反応する必要がある。本研究ではフェイント対処時の脳内情報処理を明らかにするため偶有性を含む課題遂行時の反応時間(RT)と事象関連電位(ERP)を測定した。
 実験参加者はモニタ中央に呈示された三角形の向き(上・下)に対して、縦配置のキーを使って左右第3指によるキー上げ反応を行った。刺激は上下方向の三角形が交互に呈示されたが、フェイント刺激として直前刺激と同方向の三角形が20%の確率で呈示された。RTは刺激呈示からキー上げまでを測定した。ERPは電流源密度推定法を適用しC3’およびC4’電極を分析対象とし、反応前50 msの対側陰性電位と同側陽性電位の平均振幅を測定した。いずれもフェイント試行に対する時系列変化を観察するためフェイント試行(N0試行)とフェイント前1~3試行(N-1~-3試行)を分析した。RTはフェイント試行の成否×時系列の2要因分散分析、ERPは成否、時系列、左右半球の3要因分散分析に供した。
 RTは成否と時系列との交互作用が有意であった(F = 379.92, p < .001)。単純主効果検定の結果、N-3~0試行の全てで失敗試行よりも成功試行で有意に遅延した。また成功試行ではN0はN-3、N-2、N-1より遅延し、失敗試行ではN0はN-3、N-2、N-1より短縮していた。ERPには2次の交互作用が有意であった(F = 3.56, p = .021)。半球ごとに成否×時系列の単純交互作用検定を行ったところ対側陰性電位に成否と時系列との交互作用が有意であった。N0の電位は成功試行よりも失敗試行で減衰し、またN-1、N-2よりも減衰していた。このように失敗試行(N0)では反応直前(50 ms前)に反応肢と対側運動野で急速な賦活停止が生じていた。一方、同側の抑制機能はフェイント対処に寄与しないことが示唆された。

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