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[07発-ポ-07]新体力テストからみた中学生の誕生月別体力推移の分析相対年齢効果に着目して

*木戸 大貴1、吉川 鷹吏1、佐藤 智樹1、大島 秀武2 (1. 京都教育大学大学院、2. 京都教育大学)
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本研究は、中学生における体力の発達と誕生月の関係、特に「早生まれ(1〜3月生まれ)」の生徒に焦点を当て、体力テストの結果に相対年齢効果(RAE: Relative Age Effect)が見られるかを検討したものである。学年制を採用する日本の教育制度では、同学年内で最大11か月の発育差があり、誕生月によって身体能力に差が生じることが知られている。これまで、小学生の段階からすでに誕生月による体力差が確認されており、特に早生まれの児童は握力や50m走などで遅生まれに比べて不利な傾向があることが報告されている。このような差は中学・高校と進学する中で競技成績や選抜に影響を与え、結果として、全国大会出場選手の多くが相対的に年齢の高い、いわゆる遅生まれの選手で占められていることも明らかになっているが、一般中学生の縦断的な体力の変化とRAEの関係を検討した研究は少ない。
本研究では、中学校に在籍する男女の生徒を対象に、毎年行われている新体力テストの8項目(握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、持久走、50m走、ハンドボール投げ、立ち幅跳び)の3年間のデータを分析し、誕生月と体力の関係を明らかにした。誕生月は4つのグループに分け、特に早生まれの生徒の体力傾向に着目した。
結果として、中学1年生の段階で、女子には有意な相対年齢効果は見られなかったものの、男子では長座体前屈と反復横跳びを除く6項目で相対年齢効果が確認された。中でも握力・50m走・立ち幅跳びの3項目は3年間を通して継続して差が存在し、早生まれの男子生徒が一貫して低い成績を示した。一方で、その他の項目では学年が進むにつれてその差は縮小傾向にあった。
これらの結果は、体格差や筋力差によって早生まれの生徒が運動能力で劣って評価される可能性を示しており、運動への苦手意識や体育嫌いにつながるおそれがあることが示唆された。

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