講演情報

[07発-ポ-18]大学1年生アスリートのキャリア観とキャリア支援の実態 -個別対話の有用性に着目して-1対1の対話によるキャリア形成支援の可能性を探る -競技生活からワークキャリア・ライフキャリアへの拡張-

*竪石 亜也子2、小泉 朝香3、山口 香1 (1. 筑波大学、2. アデコ株式会社、3. 株式会社トリデンテ)
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本研究は,筑波大学体育専門学群に推薦入試で入学した大学1年生アスリートを対象に,キャリア観およびキャリア形成支援の現状を明らかにすることを目的とした.
 対象者は,水泳・柔道・陸上・体操・バドミントンの個人競技に取り組む10名であり,半構造化インタビューを通じてキャリア観および支援の実態を探った.分析にはKJ法を用いたインタビューの逐語録をもとに,時系列に沿ったキャリア観の変化を図解化および叙述化した.
 インタビュー結果からは,大学進学の動機として「競技力の向上」や「実業団への通過点」といった競技キャリアへの意識が強調される一方,「教職課程の取得」「指導者としての道を模索したい」といったワークキャリアへの興味も確認された.また,「興味のある分野を見つけたい」「引退後のキャリアに不安がある」といったライフキャリアへの関心も見られた.筑波大学体育専門学群において必修科目として設置されている《スポーツキャリア形成》は,学生がキャリアについて考える契機として機能しているが,さらに今回の1対1の対話時間を通じて「普段話せないことまで話せた」「自分のキャリアについて振り返る機会になった」という声が多く寄せられた.これにより,必修科目の学びを補填する場としての1対1対話の有用性が確認された.特に,キャリアコンサルティングのような場が設けられることで,学生は自身の経験や価値観を言語化し,「次のステップが見えた」「漠然と考えていた進路が少し具体化した」といった前向きな効果が得られていた.
今後は,体育専門学群の《文武不岐》の理念を軸に,必修科目の学びを深化させる1対1対話の体系化およびその効果の検証が求められる.

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