セッション詳細
[2a107-09]本部企画シンポジウム2/身体性の価値を再考する-冗長性や不可視性を手がかりに-
2025年8月28日(木) 17:10 〜 19:10
アリーナ(スポーツ棟 2階 5201)
コーディネーター:大高 千明(奈良女子大学)、佐野 加奈絵(関西大学) 指定討論者:伊坂 忠夫(立命館大学)
テクノロジーの進化に伴い、現代社会は効率性が重視され、AIの発展によって疑問は瞬時に解決されるようになった。特にコロナ禍以降、この傾向は加速し、スマートデバイスを通じて心拍や運動量を簡単に把握できるなど、日常生活における身体情報の管理も容易になった。スポーツにおいても、リアルタイムでスキルのフィードバックを受けられるなど、最先端のツールを活用する若手研究者・実践家も増えている。一方で、こうしたデジタル化が進む社会において、見落とされてきたもの、フォーカスされてこなかった大事な要素があるのではないだろうか。体育・スポーツ科学において「身体」そのものが置き去りにされていないか、今一度立ち止まって考える必要がある。
本シンポジウムでは、体育・スポーツ科学における「身体性」の価値や本質について、一見効率でなく無駄と捉えられかねない冗長性や、定量的な評価が難しい身体感覚や経験値などの不可視性を手がかりに再考する。まず、運動制御における身体の冗長性に注目する。ヒトの運動は多くの自由度を持つ関節の制御によって実現され、冗長性は運動を複雑にする一方で、柔軟性や安定性を高める重要な特性でもある。この冗長性がもたらす豊かさを通じて、身体性の再認識を試みる。次に、学校体育における評価軸について議論する。現在、スポーツ科学や学校体育では、パフォーマンスの出来栄えや技術の習得が重視され、「できる」と「できない」、強弱や速遅による評価がマジョリティである。しかし、技やスキルを習得する過程では、試行錯誤や遠回りをする中で身体と向き合う経験が重要となる。「できない」ことの面白さや、そこから生まれる気づきもまた、体育・スポーツ科学における貴重な価値である。本シンポジウムでは、こうした冗長性や不可視性の観点から身体性を多角的に考察し、これからの体育・スポーツ科学において多様な価値を提供する可能性を探る。
本シンポジウムでは、体育・スポーツ科学における「身体性」の価値や本質について、一見効率でなく無駄と捉えられかねない冗長性や、定量的な評価が難しい身体感覚や経験値などの不可視性を手がかりに再考する。まず、運動制御における身体の冗長性に注目する。ヒトの運動は多くの自由度を持つ関節の制御によって実現され、冗長性は運動を複雑にする一方で、柔軟性や安定性を高める重要な特性でもある。この冗長性がもたらす豊かさを通じて、身体性の再認識を試みる。次に、学校体育における評価軸について議論する。現在、スポーツ科学や学校体育では、パフォーマンスの出来栄えや技術の習得が重視され、「できる」と「できない」、強弱や速遅による評価がマジョリティである。しかし、技やスキルを習得する過程では、試行錯誤や遠回りをする中で身体と向き合う経験が重要となる。「できない」ことの面白さや、そこから生まれる気づきもまた、体育・スポーツ科学における貴重な価値である。本シンポジウムでは、こうした冗長性や不可視性の観点から身体性を多角的に考察し、これからの体育・スポーツ科学において多様な価値を提供する可能性を探る。
[本部企画-S2-1]「できる」だけが正解か?身体の可能性と多様性
*田中 愛1 (1. 東京学芸大学)
[本部企画-S2-2]「うまくいく」だけが正解か?熟達化の非線形科学
*岡野 真裕1 (1. 神戸大学)
[本部企画-S2-3]「最速・最短」だけが正解か?遠回りするランニングの楽しさとGPSアートの活用
*齋藤 祐一1 (1. 鳴門教育大学)