講演情報

[学校保健体育-SA-3]教育評価の規範的妥当性と学校保健体育の公共性

*遠藤 貴広1 (1. 福井大学)
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<演者略歴>
福井大学大学院連合教職開発研究科准教授。2007年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専門は教育方法学(カリキュラム論、教育評価論)。主な著書に『〈新しい能力〉は教育に何をもたらしたのか』(共著、ミネルヴァ書房、2026年)、『戦後日本教育方法論史(上)』(共著、ミネルヴァ書房、2017 年)など。
学校保健体育における良質とは何かを問い直すとき、良質であるかどうかをどう評価するかという問題が付きまとう。そこで、良質であることをどのような指標で検証するかが問われ、良質と定義されたものを的確に測定できているかが妥当性として問われる。ただし、ここで起こりうるのが、価値を置くものを測ることを目指しながら、その測定の困難さから、測れるもの・測りやすいものに価値を置くようになってしまうという事態である。そこで、測りたいものを正確に測っているかを問う技術的妥当性ではなく、実際に測っているものが教育的に価値あるものなのかを問う規範的妥当性を追求することが求められる。それは、学校保健体育の目的は何かという問いと連動するものである。
 一般に何をもって良質とするかを考えるとき、それは誰にとって良質なのかという問題も避けられない。それは本来的に政治的な問題でもあるのだが、学校教育のような公共的な営みであれば、特定の保健体育観にまとめ上げることはできないし、たとえできたとしても、すべきではない。その一方で、より妥当な質とそうでない質を区別することは必要である。そこで、複数の異なる保健体育観が共存することを前提に、その複数性を担保したまま互いに受容可能な質をどのように特定することができるのかも問われることになる。それは、学校保健体育の公共性をどう再構築するかに関わる問題である。
 発表者はここ数年、北陸地方の高校等で、パフォーマンス評価に関わる学校間グループ・モデレーションのための地域プラットフォーム構築に取り組む中で、省察的コンセンサス・モデレーションによる教育評価の公共性の再構築という新たな研究課題も構想するようになっている。本報告では、この研究の構想を手がかりに、教育評価の規範的妥当性の観点から良質をめぐる問いの構造を検討し、それが公共性の再構築をめぐる問題にどうつながるのか、展望を示したい。

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