第66回日本臨床ウイルス学会 会長挨拶
第66回日本臨床ウイルス学会
会長 西條 政幸
(札幌市保健福祉局 医務・保健担当局長、国立感染症研究所 名誉所員)
第66回日本臨床ウイルス学会学術集会が、第29回日本ワクチン学会学術集会(大会長は国立感染症研究所の長谷川秀樹先生)との合同学術集会として札幌市で開催されます。第66回日本臨床ウイルス学会学術集会の大会長を担当致します。
日本臨床ウイルス学会は1960年に設立され、第1回学術集会の大会長が当時東北大学医学部教授の石田名香雄先生で、第20回学術集会の大会長沼崎良夫先生(国立仙台病院ウイルスセンター)です。私は沼崎先生から臨床ウイルス学を学び、多くの教えをいただきました。沼崎先生が、この学会設立の経緯や重要性を説明して下さったことをよく覚えています。そのような歴史ある学会の学術集会大会長を務めることをとてもうれしく思っています。
私は1987年に旭川医科大学を卒業し、同大学小児科学教室に入局しました。卒後10年間は北海道で小児科医として臨床の経験を積み、その後国立感染症研究所ウイルス第一部で研究職として仕事を続け、最近、生まれ故郷の北海道に札幌市保健所職員として戻ってきました。一貫して感染症学に関わる仕事を継続してきました。
過去10年間を振り返っても、西アフリカにおけるエボラウイルス病大規模流行の発生、アメリカ大陸の国々におけるジカウイルス病大規模流行、COVID-19の世界規模流行、エムポックスの国際的流行等々、予想を超える規模の、また、新規病原体による感染症が発生しています。これからも同様のエピソードが発生することでしょう。
一方で、私たちは感染症に苦しむ患者ひとり一人に対して、寄り添い、適切な治療を提供し、苦痛を少しでも軽減させ、命を守ることが求められています。また、適切なワクチン接種政策を通じて私たちが生活する社会を、より安全で安心できるようにすることが求められます。
本合同学術集会を、医師、パラメディカル、研究者、ワクチン開発・製造企業関係者、疫学・公衆衛生・行政関係者が一堂に会して、ワクチン開発やそれによる感染症対策、ウイルス感染症患者に寄り添い、治療に貢献するための課題について学び合う機会にしたいと考えています。
9月の北海道・札幌はとても過ごしやすく、美しい季節です。また、食べ物も美味しいものばかりです。是非、多くの方にご参加いただきたく思います。どうかよろしくお願いします。