第29回日本ワクチン学会/第66回日本臨床ウイルス学会合同学術集会

第29回日本ワクチン学会 会長挨拶

 
 

 
 

 第29回日本ワクチン学会
 会長 長谷川 秀樹
 (国立感染症研究所 インフルエンザ・呼吸器系ウイルス研究センター長)


第29回日本ワクチン学会学術集会が第66回日本臨床ウイルス学会学術集会(大会長:札幌市健康福祉局・西條政幸先生)との合同学術集会として開催される事になりました。わたくしが第29回日本ワクチン学会長をつとめさせていただき、副会長には北海道大学ワクチン研究開発拠点長の澤洋文教授につとめていただき令和7年9月27日(土)~28日(日)の日程で札幌にて開催される事となりました。

思えば北海道大学を卒業後、病理学の道を志し病理学(長嶋和郎教授)の大学院に入りその前半を国立予防衛生研究所(現感染研)感染病理部(倉田毅部長)で過ごさせていただいた事がその後私のキャリアにおいてワクチン研究に従事する大きなきっかけとなりました。私が感染研に奉職した1997年には第1回日本ワクチン学会(会長:大谷明先生)が新橋のヤクルトホールで開催されたのを記憶しております。日本発ワクチンのワクチンギャップが叫ばれる中、感染病理を理解し感染症の病態に応じたワクチン開発によるより安全で効果的なワクチン開発に努めて参りました。その際感じたのはワクチンの基礎研究と実用化の大きな大きなギャップでした。基礎研究者と製造所そして行政が一つになって進まないと新しいワクチンの実用化は困難なものであると感じましたが、正にその円滑な活性化に資するのが日本ワクチン学会ではないかと感じております。

ワクチン行政においては厚労省の厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会)や障害疾病認定審査会等に参加させていただきワクチンの安全性の重要性は当然ながら、それらに関する科学的な情報を適切に伝える事の難しさを感じております。日本ワクチン学会はワクチンの有効性と安全性についても多分野での科学的知見を共有また発信できる貴重な場であると考えます。

2019年からは世界保健機関(WHO)のインフルエンザ協力センター長として毎年の北半球、南半球のインフルエンザワクチン株選定、更にCOVID-19パンデミック後TAG-COVACメンバーとしてCOVID-19ワクチン株選定に携わりグローバルな共同作業無くしてワクチンの適切な開発と流通はあり得ない事を痛感しております。COVID-19パンデミック発生後、新しいワクチンの導入も加速化されその傾向はさらに顕著であり、世界の人々の健康の為に様々な地域の又分野の人々の協業が重要になっております。

本学術集会のテーマ“時代を超えた、新たな異分野融合による感染症の克服”にはまさに多くの異分野融合によるワクチンの新しい時代を切り開く思いがあります。気候の良い9月の札幌で第29回日本ワクチン学会学術集会大会長を務めさせていただく事を大変光栄に思い多くの皆様のご参加をお待ち申し上げております。