講演情報
[10311-15-02]作業的公正/不公正と精神的健康状態,抑うつ,不安感および首尾一貫感覚の関連について-医療系大学生を対象とした横断的調査-
*田原 正俊1,2、猿爪 優輝2,3、高橋 香代子2 (1. 済生会東神奈川リハビリテーション病院、2. 北里大学医療衛生学部、3. 北里大学病院リハビリテーション部)
キーワード:
作業的公正、精神機能、学生
【背景】
作業的公正とは人々が意味のある作業に従事することが可能になるための平等な機会と資源に関する概念(Townsend E, 2004)であり,健康関連QOL(今井,2016)や職業性ストレス(今井,2023),精神的健康状態(田原,2024)との関連が報告されている.一方,抑うつや不安感などの精神心理学的なアウトカムとの関連については報告が少ない.しかし,作業的公正と精神心理学的なアウトカムとの関連を明らかにすることで作業的公正の視点からの支援を検討する上での一助となる可能性があり,今回これらの関連について調査を実施したため報告する.
【方法】
本研究は横断的調査であり調査期間は2020年11月4日〜11月10日とし,スノーボールサンプリングでの匿名のオンライン調査を行った.対象は医療系大学生の3,4年生828名とし,調査項目は一般情報に年齢,性別,学年,同居人数,経済状況とした.また,作業的公正/不公正について作業的公正質問紙(以下,OJQ)を用いた.さらに精神心理学的項目にGeneral Health Questionnaire-12 (GHQ-12),Patient Health Questionnare-9(PHQ-9),Generalized Anxiety Disorder-7(GAD-7),Sense of Coherence scale-13(SOC-13)を用いた.分析は各調査項目の記述統計量を算出し,OJQの各項目と精神心理学的な調査項目との相関関係をスピアマンの順位相関係数を用いて解析した(p>0.05).なお,本研究は所属施設の倫理委員会の承認(承認番号:2020-026-2)を得ている.
【結果】
調査の有効回答数は59/828名(7.1%),記述統計量は平均年齢が21.9±3.2歳,女性44名,3年生が24名,一人暮らしが41名であった.相関関係の分析ではOJQの各項目と相関係数rの絶対値が4以上であった項目が作業的公正全般はSOC-13(r=0.41),作業剥奪はPHQ-9(r=0.44),作業不均衡はGHQ-12(r=0.65),PHQ-9(r=0.66),GAD-7(r=0.51),SOC-13 (r=-0.56),作業周縁化(日常的選択)はGHQ-12(r=0.47),PHQ-9(r=0.58),SOC-13 (r=-0.46),作業周縁化(自律的選択)はGHQ-12(r=0.50),PHQ-9(r=0.67),GAD-7(r=0.55),SOC-13 (r=-0.62)であった.
【考察】
結果より作業的公正/不公正の状態と精神的健康状態,抑うつ状態,不安感,首尾一貫感覚はそれぞれ関連があることが示唆され,支援を行う上では作業不均衡や作業周縁化の観点から検討を進めることでこれらのアウトカムの改善に寄与する可能性があると考えられる.
作業的公正とは人々が意味のある作業に従事することが可能になるための平等な機会と資源に関する概念(Townsend E, 2004)であり,健康関連QOL(今井,2016)や職業性ストレス(今井,2023),精神的健康状態(田原,2024)との関連が報告されている.一方,抑うつや不安感などの精神心理学的なアウトカムとの関連については報告が少ない.しかし,作業的公正と精神心理学的なアウトカムとの関連を明らかにすることで作業的公正の視点からの支援を検討する上での一助となる可能性があり,今回これらの関連について調査を実施したため報告する.
【方法】
本研究は横断的調査であり調査期間は2020年11月4日〜11月10日とし,スノーボールサンプリングでの匿名のオンライン調査を行った.対象は医療系大学生の3,4年生828名とし,調査項目は一般情報に年齢,性別,学年,同居人数,経済状況とした.また,作業的公正/不公正について作業的公正質問紙(以下,OJQ)を用いた.さらに精神心理学的項目にGeneral Health Questionnaire-12 (GHQ-12),Patient Health Questionnare-9(PHQ-9),Generalized Anxiety Disorder-7(GAD-7),Sense of Coherence scale-13(SOC-13)を用いた.分析は各調査項目の記述統計量を算出し,OJQの各項目と精神心理学的な調査項目との相関関係をスピアマンの順位相関係数を用いて解析した(p>0.05).なお,本研究は所属施設の倫理委員会の承認(承認番号:2020-026-2)を得ている.
【結果】
調査の有効回答数は59/828名(7.1%),記述統計量は平均年齢が21.9±3.2歳,女性44名,3年生が24名,一人暮らしが41名であった.相関関係の分析ではOJQの各項目と相関係数rの絶対値が4以上であった項目が作業的公正全般はSOC-13(r=0.41),作業剥奪はPHQ-9(r=0.44),作業不均衡はGHQ-12(r=0.65),PHQ-9(r=0.66),GAD-7(r=0.51),SOC-13 (r=-0.56),作業周縁化(日常的選択)はGHQ-12(r=0.47),PHQ-9(r=0.58),SOC-13 (r=-0.46),作業周縁化(自律的選択)はGHQ-12(r=0.50),PHQ-9(r=0.67),GAD-7(r=0.55),SOC-13 (r=-0.62)であった.
【考察】
結果より作業的公正/不公正の状態と精神的健康状態,抑うつ状態,不安感,首尾一貫感覚はそれぞれ関連があることが示唆され,支援を行う上では作業不均衡や作業周縁化の観点から検討を進めることでこれらのアウトカムの改善に寄与する可能性があると考えられる.