講演情報
[25]用途地域に着目した居住誘導区域の境界設定とその内外隣接エリアにおける地価への因果的影響制度創設10年経過時点における立地適正化計画策定自治体343都市を対象にして
○川野 裕司1、大庭 哲治2、須﨑 純一3、石井 順恵3 (1. GO株式会社、2. 京都大学大学院 経営管理大学院、3. 京都大学大学院 工学研究科)
キーワード:
居住誘導区域、境界線、用途地域、地価、傾向スコアマッチング法
本研究は,用途地域に着目した居住誘導区域の境界設定とその内外隣接エリアにおける地価への因果的影響を明らかにすることを目的に,全国の立地適正化計画策定自治体343都市を対象に,地理情報データを収集・整備し,独自の分析データセットを構築した.その上で,居住誘導区域の境界線隣接エリアにおける用途地域の指定状況を可視化し,境界線の設定実態を定量的に明らかにした.さらに,因果推論の枠組みのもとで,傾向スコアマッチング法を用いた地価分析を行い,境界線の内外隣接エリアでの地価の差異や比率を実証的に検証した.その結果,居住誘導区域の境界線が用途地域に沿って設定されているエリアは全体の57.3%を占め,内側隣接エリアでは住居系用途が平均80.9%に達している一方,商業地域を外側に設定する例は少なく,工業地域を外側とする傾向が確認された.地価分析では,非線引き都市を除く対象都市で,区域内の地価が外側より平均8.2万円(比率で50.2%)高く,特に都市部でその傾向が顕著であることを明らかにした.住居系用途に限定すると,区域内の地価は平均2.2万円高く,34.4%のプレミアムがあることを明らかにした.
