講演情報
[62]歴史資産を有する小規模地方都市における土地・建物の流通実態山口県萩市を対象として
○馬塲 弘樹1、藤田 航成2 (1. 中央大学、2. 元・中央大学)
キーワード:
低額売買物件、不動産登記、縮小都市、世界遺産、空き家、負動産
日本の地方小規模都市では、管理の行き届かない空き家や空き地が発生し、地域の美観や経済活動に悪影響を及ぼしている可能性がある。一方で、歴史的資産が豊富な地域では、景観価値が不動産価格に正の影響を与えることが示唆されている。そこで、本研究では歴史的資源を有する山口県萩市を対象に、歴史資産を踏まえた土地・建物の流通実態を明らかにすることを目的とした。分析の結果、重伝建地区ダミーは低価格帯および高価格帯で取引価格と統計的有意な負の相関を持った。また、江戸時代の土地利用は価格帯により取引価格に対して異なる傾向を示した。さらに、低価格帯において古家有りダミーは取引価格と統計的有意な負の相関を持った。ただし、歴史資産の内容は自治体により異なるため、歴史資産の不動産に対する価値については他都市でも同様の分析を行い、結果の一般化を図る必要がある。また、重伝建地区の負の影響のメカニズムについて、今後ヒアリング調査などを通して明らかにしていく必要がある。
