講演情報
[85]非営利団体主体の高架再生事業が市・BID等による高架隣接地区の空間計画に与える影響- カナダ・トロント市のBentway を対象として-
○古川 翔1、黒瀬 武史2 (1. 株式会社三菱地所設計、2. 九州大学大学院)
キーワード:
ベントウェイ、実証事業、非営利団体、高架再生事業
近年、大都市中心部では高架再生事業が数多く実施されており、連携して隣接地区の空間整備も進められている。これらの取り組みにおいては、同事業の運営団体と行政、BID(Business Improvement District)との連携が、空間整備の実現に向けて重要な役割を果たしている。一方で、行政主導の再生事業は、合意形成に時間を要し、計画と実態との乖離を生じることが少なくない。本研究では、カナダ・トロント市におけるBentway Projectを対象とし、その戦略が市・BID等による高架隣接地区の空間計画の変化に与えた影響を明らかにした。Bentway Project以前は高架再生事業が停滞していたが、プロジェクト実施を契機として、実証的な空間活用の取組や枠組み計画の策定が進展した。分析の結果、Bentway Projectの実証的な空間整備方針と、同事業の運営団体による積極的な連携姿勢が、行政およびBIDによる実証的な試みを誘発し、高架下空間の再生に向けた包括的な枠組み計画の形成に結びついたことが明らかとなった。
