講演情報

[95]地域密着型のプロスポーツが生み出す『アウェイ・ツーリズム』Jリーグファンの試合観戦と観光行動の決定要因の分析

○村山 颯大1、井上 拓央1、渡部 一郎1、中島 弘貴1、梁 イェリム1、古賀 千絵2、新 雄太1、小泉 秀樹1 (1. 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻、2. 京都大学 人と社会の未来研究院)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

スポーツ・ツーリズム、プロスポーツ、観光施策、観光行動、二項ロジスティック回帰分析

本研究は、地域密着型のプロスポーツにおけるスポーツ・ツーリズムを「アウェイ・ツーリズム」と定義し、その実践者であるファンの特徴や、旅行を伴った試合観戦を行う要因、および観戦に付随する観光行動をとる要因を明らかにすることを目的としている。アンケート調査の結果、アウェイ・ツーリズムを行うファンには、若年層が多いことやクラブの本拠地から離れた地域での居住が多いことなど、一般のファンとは異なる特徴があることが明らかになった。さらに、二項ロジスティック回帰分析の結果、アウェイ観戦行動は個人属性や応援しているクラブのカテゴリーに影響を受ける一方で、観光行動は個人属性に加えて、心理的特性や目的地の特性にも影響を受けることが示された。これらの結果から、クラブの性質やファンの性別・年齢といった属性に応じた施策の立案、ファン間の交流の促進、観光地の知名度に依存しない観光施策の検討、さらには地域間の相互連携が、アウェイ・ツーリズムの推進に有効である可能性が示唆された。本研究は、プロスポーツクラブや自治体がスポーツ・ツーリズムを活用した観光施策を検討する上で、有益な示唆を与えるものである。