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[106]東京都におけるスタートアップ集積地区の立地と集積の形成要因に関する研究投資および地価の観点に基づくスタートアップ・エコシステムの分析
○岡田 潤1、根岸 麻理子2,1、出口 敦1 (1. 東京大学大学院新領域創成科学研究科、2. 一般財団法人GovTech東京)
キーワード:
ベンチャー企業、イノベーション地区、インキュベーション、大学、エリアマネジメント、DBSCAN
本研究は、東京都におけるスタートアップ(StU)の立地に基づいてStU集積地区を抽出し、各地区を構成するStUの企業属性の特徴を分析した上で、ベンチャーキャピタル(VC)からの投資および地価といった経済的観点から、各地区におけるStU集積の形成要因について論じた。東京都には33のStU集積地区が立地し、中でも渋谷・恵比寿と虎ノ門・六本木の2地区には、多くのStUとVCが立地し、地区内での投資関係が密である。また「内→内投資」の割合が大きかった。また、地価の高い東京駅周辺のエリアに立地する大手町、丸の内、八重洲・京橋・銀座の3地区は、VCの企業数が多く、地区外のStUへの投資が盛んに行われていた。さらに本郷、東大前、早稲田といった大学キャンパスに近接する3地区では、地価が安いことで、設立から間もない、従業員の少ない大学発StUが集積し、AI分野のStUが多いこと、他地区と比べて近年StUの数が増加傾向にあることが明らかとなった。このように各地区の特徴や集積の形成要因を把握することは、東京都全体におけるStUエコシステムの強化に向けて有用と考えられる。
