講演情報
[150]施設密度に着目したアクティブモビリティの分担率と移動距離に関する数理的分析
○田沼 宏行2、田中 健一1 (1. 慶應義塾大学、2. 慶應義塾大学大学院)
キーワード:
アクティブモビリティ、コンパクトシティ、交通分担率、距離分布
近年,都市における持続可能な交通手段として,徒歩や自転車を含むアクティブモビリティ(AM)が注目されている.AMは環境負荷が小さく,都市空間の効率的利用や住民の健康増進にも資する一方で,移動距離に制約がある.しかし,都市機能が集約されたコンパクトシティにおいては,有効な交通手段となり得る.本研究では,格子状道路網を有する都市平面上で,施設の配置をランダムと規則的な二種類で与え,一様に分布する人々が最寄り施設を訪問する状況を想定する.移動距離に対するAM選択確率をガウス型曲線でモデル化し,施設密度とAM利用者数および全移動者の平均距離の関係を解析する.その結果,AM利用者数および全移動者の平均距離を簡潔な式として導出できることを示し,さらに平均距離を最大化する施設密度がガウス型曲線の減衰強度パラメータに一致することを明らかにした.これは都市スケールと人間のスケールの間に調和のとれた最適な施設密度が存在することを示唆するものであり,理論的にも応用的にも意義深い成果である.
