講演情報
[151]緊急輸送道路網の機能低下をもたらす空き家倒壊の影響
○佐藤 佳乃1、石井 儀光2、大澤 義明3 (1. 筑波大学大学院、2. 国土技術政策総合研究所、3. 麗澤大学)
キーワード:
空き家、緊急輸送道路、道路閉塞、シュタイナー木、最短経路、NP-困難
我が国では地震が頻発している.令和6年能登半島地震では家屋の倒壊が緊急輸送道路の機能を低下させ,復旧・復興に遅れが生じた.また,空き家の管理不全や近年の気候変動により,倒壊の可能性は高まり,事前防災としての空き家除却が必要である.本研究では,緊急輸送道路沿道の空き家の倒壊に着目し,道路ネットワークに及ぼす影響を評価する.茨城県南部の12市から特別に提供を受けた空き家位置データと,日本デジタル道路地図協会から貸与を受けた道路データを使用した.以下の三点が主な成果である.①緊急輸送道路の通行に支障を与える空き家数を空間関係から算出し,規模感を把握した.②そして,空き家倒壊が道路の幅員をどの程度狭めるかを計測し,大型車と普通車の車種別に緊急輸送道路の機能低下を定量的に評価した.③さらに,災害時の拠点となる役場間を結ぶ経路について,空き家撤去コスト最小化を重視する最小空き家数問題と,速達性を重視する最小移動距離問題の2種類の最適化問題を解いた.狭域(稲敷市)と広域(12市町)の2つの場合を想定し,結果を比較した.さらに,除却空き家棟数と拠点間移動距離との2つの変数のトレードオフを可視化した.
