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[161]被災地復興における農村版心理的資本と未来志向の関連令和6年能登半島地震被災地の調査結果から

○藤井 善仁1、川澄 厚志2 (1. 武庫川女子大学、2. 金沢大学)
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キーワード:

心理的資本、創造的復興、レジリエンス、未来志向

本研究は、令和6年能登半島地震被災地において、被災者の心理的資本と未来志向との関連性を明らかにすることを目的とした。心理的資本は個人の内面的な心理的資源として、未来志向は地域社会への将来展望として明確に区別し、分析を行った。輪島市の重蔵神社において、物資配布に訪れた被災者114名(有効回答103名)を対象に、農村版心理的資本尺度を用いた構造化面接法により調査を実施した。階層的重回帰分析の結果、心理的資本得点は未来志向と有意な正の関連を示し(β=.290、p=.007)、下位尺度では特に楽観性(β=.289、p=.015)と効力感(β=.219、p=.066)が相対的に強い関連を示した。また、10代~50代の若年層相当は60代~80代の高齢層より有意に高い心理的資本得点を示した(p=.022)。さらに、復興と観光への期待も未来志向に有意な正の影響を示した。これらの結果は、被災地の復興支援において、地域住民の心理的資本、特に現実的な楽観性と具体的な効力感の醸成が、地域の未来志向的な展望形成に重要な役割を果たし、創造的復興の実現に寄与する可能性を示唆している。