開催予定のシンポジウム
開催予定のシンポジウムの情報を随時掲載いたします。掲載時点の情報であり今後変更する可能性があります。
イノベーション共創プログラム(CIP)
現代社会は気候変動、環境破壊、資源の枯渇、人口動態の変化、感染症の蔓延など、多様化し深刻さを増す地球規模の問題に直面しています。複雑に入り組んだ諸問題を現実的コストで解決するには化学をコアとする革新的技術の開発と実装が不可欠であり、我々化学者には、分野の垣根を越えて知恵と技術を結集し、共に挑戦することが求められています。本CIPでは「イノベーション共創」をキーワードに、産官学の研究者・技術者が一堂に会する場として、13のオーラルセッションとCIPポスターセッションを企画し、持続可能な未来を創造するための共創のプラットフォームを提供いたします。
シンポジウム名称
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近年、研究プロセスの迅速化、精度向上、省力化を背景に研究DXやラボオートメーションの活用が急速に発展してきています。これらの技術を活用することで化学・材料を始めとした実験科学において不足している体系的なデータセットを取得し、AIや機械学習を利用することで従来の方法では得られない新たな知見も生まれ始めています。さらには、AIが科学研究のプロセス全体を支援するAI for Scienceに対しても期待が高まって来ています。 一方で、研究DXやラボオートメーションを導入、利活用するにあたっては様々な問題が顕在化しており、例えば高額な設備投資、人が作業する既存の実験系との置き換えやハイブリッド化、分析・解析過程との連携不備などがネックとなり期待した効果が得られない可能性もあります。 本セッションでは、これらの最新の研究成果と共に実践における課題についても議論します。
水は生命の源であるとともに、私たちの社会・産業の基盤を支えるかけがえのない資源です。近年、地球規模での環境変動や資源枯渇が深刻化する中で、水の利用・浄化・再生技術の重要性がますます高まっています。さらに、エネルギーや資源回収、次世代材料開発など多様な分野において、水をめぐる新しい科学的知見や革新的技術が登場し、持続可能な社会の実現に向けた新たな展望が広がりつつあります。本セッションでは、「水」をキーワードに、無機イオン交換、ナノろ過や逆浸透膜技術、水素製造光触媒、水環境光化学、放射光を用いた水の科学など、基礎から応用まで幅広い最前線の研究・開発を紹介します。さらに水資源の有効利用や環境負荷低減に資するバイオプラスチック、水の同位体分離、リチウム資源回収、水電解や高濃度水系電解液電池など、産業界における最先端の取り組みにも焦点を当て、学術と産業の橋渡しを図ります。多様な視点から水の可能性を探求し、参加者の皆様とともに持続可能な未来に向けた議論を深める場となることを願っています。
次世代太陽電池は、水素社会や脱炭素社会の実現やエネルギー安全保障の確保、気候変動対策において中核を担う技術として期待されています。本セッションでは、次世代太陽電池に関する最新の研究成果と、それらの社会実装に向けた具体的なアプローチを取り上げます。次世代太陽電池の基礎に関するレクチャーから、発電効率や耐久性の向上、さらに量産化を見据えた製造技術の確立など、基礎から応用にわたる幅広い課題について議論します。それにより、将来に向けた技術と市場の展望を展開します。
2020年10月の「2050年カーボンニュートラル」宣言を契機として、2030年度までの温室効果ガス削減目標を2013年度比で46%削減とし、さらには2050年には完全にカーボンニュートラルを達成すべく大胆な方針も示されております。これまで再生可能エネルギーを用いた水素製造、CO2の水素化や有価物への触媒的変換に焦点を当ててきましたが、今回はバイオマスのガス化や液化などの変換技術の切り口でカーボンニュートラルへの貢献を議論いたします。本セッションでは、これらの研究について世界をリードする研究者に紹介いただきます。カーボンニュートラル達成のためのバイオマス活用技術についてどんな挑戦が必要か、活発な議論の場の提供を考えております。
金属負極は超高容量二次電池向けの負極として、古くから研究開発が行われてきましたが、実用化においては炭素や酸化物材料などが選ばれてきました。しかし、近年では金属の析出形態制御や、安定な表面被膜の形成、体積変化に伴う劣化の抑制などの技術が進化し、金属負極の研究開発が加速されています。さらに金属負極は電解液を用いた電池だけでなく、固体電解質を用いた電池にも適用検討されており、次世代電池研究において重要なアイテムです。本セッションでは‘最先端’の金属負極の研究開発について議論します。
再生可能エネルギーの系統への導入が進むにつれて、長期エネルギー貯蔵技術(LDES)の重要性が高まっています。LDESとして、電気化学式、機械式、蓄熱式など様々な技術が検討されています。例えば、レドックスフロー電池は、低コストで大型化が可能であり高い安全性を有する蓄電池です。また、数日以上のエネルギー貯蔵が可能になる熱エネルギー貯蔵(蓄熱)には、顕熱、潜熱、化学蓄熱式があり、これらの開発の核となるのは熱マネージメントです。本企画では、産学の研究者より、再生可能エネルギーの大量導入社会におけるLDESの必要性を解説いただくとともに、注目される最新の技術開発動向や、LDESの開発にとって重要な課題などについて議論します。
低分子医薬品ではニーズを満たすのが難しい希少疾患に対する次世代医薬品モダリティとして、抗体医薬や核酸医薬、ペプチド医薬、さらには細胞医薬などのバイオ医薬品が大きな期待を集めています。本セッションでは、日本発のバイオ医薬品の開発を目指す研究者が産学官から結集し、将来のバイオ医薬品を革新する先端化学技術やそれらの社会実装に向けた取り組みについて議論します。
各種デバイスを活用した健康データの記録や、人工知能(AI)や機械学習の活用による診断・治療の支援を行う技術開発は、近年長足の進歩を遂げ大きな注目を集めています。これらデジタルヘルスケア技術の開発には、代謝産物、タンパク質、ゲノム情報などの生体情報に関するビッグデータを活用して、個々人の体質にあった生活習慣やケア方法を提案することが重要となってきました。また生成される大量のデータは、ヒトの健康情報、モニタリングデータ、診断結果、治療効果など、その膨大な量と多様な情報を活用することで、個々の健康管理や医療プロセスの向上を通じてよりよい地域社会に貢献すると期待されています。本セッションでは、これら最新の技術やその事業化に向けての取り組みについて話題を提供します。
近年、iPS細胞やゲノム編集技術、デジタル技術との相互作用等により、目覚ましい発展を遂げているバイオ分野でのイノベーションにより、従来の手法では治療が困難であった疾患に対する新たな治療法の開発や、現代社会が課題とする食糧問題等に対する画期的な解決手法が確立されつつあります。このセッションでは、独自に開発された技術に基づいた新たな戦略を通じて、世界を変えるべく躍進するバイオベンチャーの代表の方々にご講演をお願いし、議論します。
ソフトクリスタルは規則正しい結晶構造と周期構造を持つ安定な構造体であり、結晶性を保ちながらも、特定の弱い刺激によって容易に構造変換や相転移を起こすという特異的な性質を持ちます。例えば、光によって曲がったりすることで、力学的な応答に変換できることがわかっています。逆に力学的刺激によって色が変わる現象(メカノクロミズム)が知られており、センシングへの応用が期待されています。本セッションでは、分子性結晶材料における最先端の基礎研究、メカノクロミズムセンシングをはじめ液晶や高分子の応用研究を展開しているアカデミア・企業などの先生方にご講演いただき、この新規材料“ソフトクリスタル”の新たな応用展開の可能性を探ります。
生物が進化させた機能性材料は実に多様であり、新素材開発の魅力となっています。新素材開発の手本としての生物が持つ魅力は、独特な微細構造により元の素材の何千倍もの特性を引き出す機能、自己修復・自己破壊機能(フェイルセーフ機能)、セルフクリーニング機能(機能の効率保持)、低環境負荷(常温常圧)で形を造り出すしくみなど、高効率・高性能・省エネルギーを実現しています。自然が育んだ構造や機能を人工的に再現・構築し、従来材料を凌駕する性能を生み出す新しい取り組みがサステナブル社会実現の切り札として脚光を浴びています。本セッションでは、様々な機能を発現する生物の構造から生態機能を応用した材料の開発まで、基礎から実用における最新バイオミメティクス研究を紹介するとともに、今後の課題や展望を議論し、産学連携によるイノベーション加速の鍵を探ります。本セッションでは、革新的なGaN(窒化ガリウム)高周波半導体を活用したマイクロ波加熱技術の新展開に注目し、理論・基礎から合成化学・反応プロセス・環境応用に至るまで、産学を代表する研究者から学術と産業を横断する多様なアプローチを紹介頂きます。マイクロ波加熱の理論解析から精密有機合成・触媒反応・材料合成さらに生産現場における反応炉設計まで、幅広い領域をカバーしつつこれまで文書化されてこなかった「マイクロ波加熱の勘所」を紹介します。特に「未来のものづくり」におけるマイクロ波の役割と展望を提示することで、次世代の省エネルギー・高効率プロセス技術としてのGaNマイクロ波加熱の可能性を探る機会とします。
有機電解合成は1848年のコルベ電解反応から始まった歴史ある合成反応でありますが、化学品製造の歴史においては、石油化学の台頭や反応装置の制限から、アクリロニトリルの二量化のようなごく一部の反応を除いてこれまでほとんど工業化されていませんでした。しかし、近年、風力発電や太陽光発電というグリーン電力の普及が見込まれておりその直接活用が可能なこと、化学品製造にCO2排出量削減への貢献が期待されること、反応装置や電極・膜・電解質の発達で適用可能な反応が増えてきたことなどから、有機電解合成の工業化に注目が集まりつつあります。また、学術の現場でも汎用の電解合成装置が販売されるようになることで、電気化学の専門家でなくとも電解合成に挑戦できるようになり、新たな知見・視点が有機電解合成の分野に持ち込まれる環境が生まれつつあります。本セッションでは、このように産・学で盛り上がりをみせる有機電解合成の分野において活発に研究を展開している先生方にご登壇頂き、その最新動向を学ぶことで有機電解合成の発展と産業化への道筋について議論する場を提供いたします。
中長期テーマシンポジウム
中・長期戦略に基づくシンポジウムを春季年会実行委員会と学術研究活性化委員会の合同企画として継続的に実施しています。 本年会では次の6テーマを実施予定です。
シンポジウム名称 |
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本シンポジウムでは、独自の分子設計や分析法を駆使し、無秩序状態からの秩序の発現や、ナノからミクロスケールでの序列形成を探索することで、これまでにない機能の発現を可能にする最新の研究を紹介する。高分子、生体分子、ナノクラスター、金属錯体など多彩なナノ物質群を取り上げ、サイズ的・時間的階層の視点に立脚し、各階層間の秩序性・連動性に着目した材料開発と機能制御に向けた実りある討論を行う。
有機太陽電池(OPV)は、有機半導体材料が持つ分子設計の自由度を活かして、高効率化に向けた研究開発が精力的に進められている。近年では、発電層の構造・物性の精密解析が進展し、光励起状態の振る舞いや、電荷の生成・分離・輸送過程に関する理解が急速に深化している。これに伴い、光電変換材料としての枠を超え、エネルギーハーベスティングなど多様な有機光エレクトロニクス分野への応用展開も期待されている。本シンポジウムでは、OPVの基礎科学から最先端の応用研究に至る幅広い成果を紹介し、有機半導体材料が拓く新たな学術的可能性の展望について議論する。
本シンポジウムは、「進化と生物多様性を司る化学」を総合テーマとした中長期テーマ企画の第1回として開催する。生命科学の様々な分野に携わる研究者と化学者が分野を超えて連携・交流することで、生物の進化や多様性を新たな視点から捉え直し、これまでにない学術的枠組みの創出を目指す。本会では、医学・創薬科学の立場から生命現象に取り組む研究者を中心に招聘し、生命の仕組みや物質との関わりを化学的・医薬学的視点から再考する場とする。
近年、物質探索は低次元材料へ急速にシフトしつつあり、中でも外場応答性と設計自由度に優れる低次元分子性材料が機能性マテリアル開発の鍵となっている。本シンポジウムでは、分子科学の化学多様性・ナノ制御を活かした、電気・光・磁気機能を持つ革新的分子性2次元マテリアルについて議論する。その実現には、高度な分子設計、精密合成・構築、構造・特性評価、機能予測計算といった異分野連携が不可欠である。本シンポジウムでの議論を通じ、分子の設計自由度活用と精密制御による次世代電子材料創出に貢献することを目指す。
カーボンニュートラル実現に向けて、太陽光エネルギーを利用した水電解などグリーン水素の製造技術が盛んに研究されている。このグリーン水素に基づく社会の実現には、水素の製造のみならず、これを安全かつ効率良く運搬する技術が必須となる。本シンポジウムでは、水素を直接または間接的に運搬するエネルギーキャリアに係わる最新の研究動向を共有し議論する場を提供する。
本シンポジウムでは、水を基盤とする機能材料としての水圏機能材料の最先端研究に焦点を当てる。水和構造、界面、自己組織化、水素結合、動的ネットワークといった分子スケールでの深い理解に基づき、持続可能な社会に資する材料設計、センシング、浄化・分離などの界面機能、医用デバイス応用など多岐にわたる展開について水の科学という統一的な視点から考える。生物システムの構造・機能も考慮する。理論・合成・物性・応用の研究者を融合し、「水」を共通語とした学際的議論を通じて、環境・健康・資源・デバイスに関わる課題解決へとつなげる材料科学の未来像を探る。
本シンポジウムは、「進化と生物多様性を司る化学」を総合テーマとした中長期テーマ企画の第1回として開催する。生命科学の様々な分野に携わる研究者と化学者が分野を超えて連携・交流することで、生物の進化や多様性を新たな視点から捉え直し、これまでにない学術的枠組みの創出を目指す。本会では、医学・創薬科学の立場から生命現象に取り組む研究者を中心に招聘し、生命の仕組みや物質との関わりを化学的・医薬学的視点から再考する場とする。
近年、物質探索は低次元材料へ急速にシフトしつつあり、中でも外場応答性と設計自由度に優れる低次元分子性材料が機能性マテリアル開発の鍵となっている。本シンポジウムでは、分子科学の化学多様性・ナノ制御を活かした、電気・光・磁気機能を持つ革新的分子性2次元マテリアルについて議論する。その実現には、高度な分子設計、精密合成・構築、構造・特性評価、機能予測計算といった異分野連携が不可欠である。本シンポジウムでの議論を通じ、分子の設計自由度活用と精密制御による次世代電子材料創出に貢献することを目指す。
カーボンニュートラル実現に向けて、太陽光エネルギーを利用した水電解などグリーン水素の製造技術が盛んに研究されている。このグリーン水素に基づく社会の実現には、水素の製造のみならず、これを安全かつ効率良く運搬する技術が必須となる。本シンポジウムでは、水素を直接または間接的に運搬するエネルギーキャリアに係わる最新の研究動向を共有し議論する場を提供する。
本シンポジウムでは、水を基盤とする機能材料としての水圏機能材料の最先端研究に焦点を当てる。水和構造、界面、自己組織化、水素結合、動的ネットワークといった分子スケールでの深い理解に基づき、持続可能な社会に資する材料設計、センシング、浄化・分離などの界面機能、医用デバイス応用など多岐にわたる展開について水の科学という統一的な視点から考える。生物システムの構造・機能も考慮する。理論・合成・物性・応用の研究者を融合し、「水」を共通語とした学際的議論を通じて、環境・健康・資源・デバイスに関わる課題解決へとつなげる材料科学の未来像を探る。