大会実行委員長挨拶
応用生態工学会会員のみなさま
応用生態工学会第28回大会は、すでにニュースレターで会員のみなさまに御案内を差し上げていますように、2025年9月11日〜14日に「水の都にいがた」で開催します。メインの会場は、新潟駅から少し離れたところにある新潟大学五十嵐キャンパスとし、公開シンポジウムは、大勢の市民の方々にも参加いただけるよう、新潟駅にほど近い朱鷺メッセ コンベンションセンターでの開催といたしました。開催地である新潟市は、埼玉・山梨・長野の県境を源流とする日本最長の信濃川と、猪苗代湖や尾瀬沼の雪解け水を集めて越後平野に流れ込む日本最大級の水量を誇る阿賀野川の二大河川の河口付近に発達した都市で、ラムサール条約に登録されている佐潟に加え、ハクチョウ類やガン類など大型水禽類の国内有数の越冬地として知られる福島潟や鳥屋野潟など、大小多数の潟が点在する国内有数の水辺豊かな地域です。さらに令和4年、出水市と並んで、新潟市は国内初となる「ラムサール条約湿地自治体認証制度」に基づく認証を受け、国際湿地都市NIIGATAとしての第一歩を踏み出すことになりました。新潟市が推進する街づくりの理念は、応用生態工学会の達成目標でもある「人と生物の共存」「生物多様性の保全」「健全な生態系の持続」をまさに形にしようとしたものであり、本学会員の方々にも高い関心を持ってご参加いただける開催地ではないかと期待しています。
さて、本大会が9月に迫る中、大会実行委員会としての活動もいよいよ本格化してまいりました。研究発表や自由集会、懇親会などプログラムの構成は例年通りですが、さまざまな企画を検討する上で、参加していただいた会員のみなさんに、これは良かったと思ってもらえるようなスパイスを各所に加えていきたいと考えています。大会最終日に予定しているエクスカーションは、前日の公開シンポジウムの内容を受け、国土交通省北陸地方整備局のご協力のもと、「見る」「食べる」「ともに考える」といった、新潟ならではの三昧を味わっていただきたいと考えています。
公開シンポジウムは、廣瀬賞の受賞者講演とともに、9月13日に朱鷺メッセ国際会議室で行われます。公開シンポジウムのテーマは、「生態系ネットワーク形成を基軸とした地域づくりを目指して」(仮題)としました。現在、国は国土規模での生態系ネットワーク形成を進めていますが、それを地域づくりに活かそうとする首長にも御登壇いただき、「生態系ネットワーク形成の意義と価値」について、会員および市民と共に考える空間を提供できればと考えています。
当学会は、昨年度に法人化し、「一般社団法人 応用生態工学会」として新しく生まれ変わりました。学会の体制も大幅に見直される中で、大会準備を進める上でも、その影響は要所に現れ、実行委員会立ち上げ当初は戸惑うことが多かったのも事実です。会員が少ない地方での大会開催に向けて、学会本部・地区会と連携しながら一層の効率化を図る運営のあり方を模索しつつ、地方の魅力や課題を最大限に発信できるような大会になることを期待しています。つきましては、会員の方々には是非新潟にお越し頂き、日頃から積み上げてきた研究成果のご報告とともに、多様な分野の参加者と交流を深めることで、応用生態学の知見を拡げる新たな一歩を踏み出す機会になることを願ってやみません。
最後に、実行委員会のみなさまには、大会開催に向けて、さまざまな検討および準備を進めていただいております。この場を借りて、厚く御礼を申し上げます。
応用生態工学会第28回大会「新潟大会2025」
実行委員長 関島 恒夫(新潟大会農学部教授)