講演情報

[G-P-29]深海曳航調査システムと有人潜水艇を用いた富山深海長谷での海底地すべり調査-YK26-06S航海速報-

*川村 紀子1、金丸 龍夫2、古川 邦之3、南 宏樹4、立石 良5、石川 尚人5、張 勁6、鹿児島 渉悟6、三箇 真弘7、ミッチェル ハーヤント6、ヤンシン モー6、中田 一珂6 (1. 海上保安庁海上保安大学校、2. 日本大学文理学部、3. 愛知大学経営学部、4. 海上保安庁海洋情報部、5. 富山大学都市デザイン学部、6. 富山大学理学部、7. 富山県農林水産総合技術センター水産研究所)
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海底地すべり、令和6年能登半島地震

 富山湾では,令和6年能登半島地震発生後の3分後に津波が観測された。地震後に海底地形調査によって海底地すべりが数多く発見され,この津波の発生の原因は海底地すべりであると推定されている(例えば,Minami et al., 2025; Minami & Kawamura, 2025)。これらの海底地すべり地形の詳細の解明を目的として,富山湾の北部と南部の海域において2026年6月に深海曳航調査システム「ディープ・トゥ」および有人潜水艇「しんかい6500」を用いて海底の観察及び海底堆積物の採取を行った。本講演では,これらの潜航時の動画と採取した堆積物の観察結果をもとにして,現在の海底の最新情報を報告する。富山湾北部では,令和6年能登半島地震時に発生した海底地すべり(水深1732~1573 m)において1本のトランセクトを設定して,潜航調査を実施した。富山県南部では,富山深海長谷(水深1192 m)から東側の斜面(水深1157 m)での調査を実施した。北部海域の海底では,地すべりの崩落物である多数の泥のブロックが認められた。一方で南部海域においては,崩落物は比較的少なく,リップルマークが見られた。これらの海域から「しんかい6500」を用いて地層の水平面に対して鉛直にコアラーを刺し込み,Furukawa et al. (2024)の手法に準じてレーザー光線を当て,堆積物コア試料を定方位で採取した。また崩壊が認められない海域からも1本のコア試料を同様に採取した。これらの堆積物コア試料の肉眼での観察結果は,海底地すべりの発生していない海域では厚さ0~約2 cmの酸化層が見られるが,崩落物が多く存在する海域では酸化層は認められなかった。これは海底地すべりによって酸化層を形成していた堆積粒子が移動したと示唆される。堆積物コア試料のCT画像では,地すべり崩壊物が無い海域から採取された試料の地層面は水平であるものの,崩落物の比較的多い海域のものは,地層面の傾きが比較的大きかった。南部海域で採取した2本の堆積物コア試料では,砂層が挟在しており,上方細粒化が認められたため乱泥流が発生した可能性があると考えられる。今後は,堆積物コア試料の帯磁率異方性と残留磁化測定により,これらの崩落物や砂層の流向を推定する予定である。

引用文献
Furukawa, K, Kanamaru, T., Tani, K., Kawamura, N., Shibuya, J., & Yamamoto, Y., (2024). Advancing seafloor sampling using submersibles and remotely operated vehicles: The cross-line laser orientation method. (2024). Tectonophysics, 883, 230389.
Minami, H., & Kawamura, N. (2025). Submarine landslides and mass movements in deep water caused by the 2024 Noto Peninsula earthquake, Japan. Landslides, 22(8), 2585-2592.Minami, H., Umino, K., Tateishi, R., Kawamura, N., & Seo, N. (2025).
Detecting submarine landslides caused by the 2024 Noto Peninsula Earthquake through repeat bathymetric surveys in Toyama Bay, Japan. Landslides, 22(2).

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