講演情報
[T9-P-3]顕微鏡スケールでの水平割れ目の特徴について
*竹内 真司1、佐藤 一良1 (1. 日本大学)
キーワード:
水平割れ目、割れ目密度、顕微鏡スケール、画像解析、地質環境
はじめに
高レベル放射性廃棄物の地層処分においては、数万年を超える長期にわたって放射性核種を隔離できるような安定した地質環境の選定が不可欠である。処分対象岩盤が隆起・侵食を受けるような場所では除荷作用により水平割れ目が発達し、これが核種や地下水の選択的移行経路となる可能性がある。これまで、ボーリング孔スケールでの水平割れ目の分布特性は検討されてきた(三枝ほか2001など)が、割れ目周辺に存在する顕微鏡スケールの潜在的な微小割れ目に関する定量的な評価は十分に行われていない。そこで本研究では、隆起速度が比較的大きい地点で採取した花崗岩類を対象に、水平割れ目周辺の母岩に発達する潜在割れ目の方向や頻度分布などを顕微鏡スケールで計測し、画像解析を用いてその特徴について検討した。
研究方法
採取した花崗岩類を用いて、露頭スケールの水平割れ目を境界面とした試料を採取し、割れ目面から深さ方向に薄片を作成した。その際、割れ目の視認性を高めるため蛍光塗料を含浸させた。偏光顕微鏡下で撮影した計251枚の薄片画像をImageJに読み込み、これらを結合して全体画像を構築した。鉱物粒界などに留意しつつ、ImageJのROI Manager機能を用いて複数の鉱物を横切る明瞭な線状構造(割れ目)を手動でトレースし、これを潜在割れ目として抽出した。取得したROIデータをPython環境で読み込み、割れ目長(ピクセル数から実長mmへの変換)と割れ目方向(0〜90°の範囲での折りたたみ処理)を算出した。そして、断面からの深さ方向約1.26mmのセクションごとに、ローズダイアグラムを用いた方向分布と割れ目本数の集計を行った。
結果
抽出した割れ目の方向分布をセクションごとに測定した結果、割れ目の方向は一様に分布せず、低角度(0〜30°)に卓越する傾向が顕著に認められた。全セクションを合わせたローズダイアグラムにおいても、0〜10°および20〜30°にピークがみられた。また、水平割れ目の断面からの距離に伴う割れ目本数の変化を集計した結果、割れ目面から深部ほど本数が減少する傾向が確認された。
考察および今後の課題
顕微鏡スケールでの潜在割れ目が水平方向に卓越しているという結果から、露頭スケールで観察される水平割れ目と整合的であり、これらが同一の応力場および除荷過程等に由来する構造であることが示唆される。また、深部ほど割れ目本数が減少するのは、除荷による応力解放や表層での風化作用の影響が深部ほど減衰するためと考えられる。水平割れ目に近い部分での割れ目密度の高さは、核種が侵入した際に収着効果として働くことが期待できる。今後の課題として、割れ目の三次元的な分布や連結性などの評価が必要である。さらに、異なる隆起速度をもつ他地域との比較検討が必要である。
高レベル放射性廃棄物の地層処分においては、数万年を超える長期にわたって放射性核種を隔離できるような安定した地質環境の選定が不可欠である。処分対象岩盤が隆起・侵食を受けるような場所では除荷作用により水平割れ目が発達し、これが核種や地下水の選択的移行経路となる可能性がある。これまで、ボーリング孔スケールでの水平割れ目の分布特性は検討されてきた(三枝ほか2001など)が、割れ目周辺に存在する顕微鏡スケールの潜在的な微小割れ目に関する定量的な評価は十分に行われていない。そこで本研究では、隆起速度が比較的大きい地点で採取した花崗岩類を対象に、水平割れ目周辺の母岩に発達する潜在割れ目の方向や頻度分布などを顕微鏡スケールで計測し、画像解析を用いてその特徴について検討した。
研究方法
採取した花崗岩類を用いて、露頭スケールの水平割れ目を境界面とした試料を採取し、割れ目面から深さ方向に薄片を作成した。その際、割れ目の視認性を高めるため蛍光塗料を含浸させた。偏光顕微鏡下で撮影した計251枚の薄片画像をImageJに読み込み、これらを結合して全体画像を構築した。鉱物粒界などに留意しつつ、ImageJのROI Manager機能を用いて複数の鉱物を横切る明瞭な線状構造(割れ目)を手動でトレースし、これを潜在割れ目として抽出した。取得したROIデータをPython環境で読み込み、割れ目長(ピクセル数から実長mmへの変換)と割れ目方向(0〜90°の範囲での折りたたみ処理)を算出した。そして、断面からの深さ方向約1.26mmのセクションごとに、ローズダイアグラムを用いた方向分布と割れ目本数の集計を行った。
結果
抽出した割れ目の方向分布をセクションごとに測定した結果、割れ目の方向は一様に分布せず、低角度(0〜30°)に卓越する傾向が顕著に認められた。全セクションを合わせたローズダイアグラムにおいても、0〜10°および20〜30°にピークがみられた。また、水平割れ目の断面からの距離に伴う割れ目本数の変化を集計した結果、割れ目面から深部ほど本数が減少する傾向が確認された。
考察および今後の課題
顕微鏡スケールでの潜在割れ目が水平方向に卓越しているという結果から、露頭スケールで観察される水平割れ目と整合的であり、これらが同一の応力場および除荷過程等に由来する構造であることが示唆される。また、深部ほど割れ目本数が減少するのは、除荷による応力解放や表層での風化作用の影響が深部ほど減衰するためと考えられる。水平割れ目に近い部分での割れ目密度の高さは、核種が侵入した際に収着効果として働くことが期待できる。今後の課題として、割れ目の三次元的な分布や連結性などの評価が必要である。さらに、異なる隆起速度をもつ他地域との比較検討が必要である。
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