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[S1-O-5](招待講演)東北日本,南部北上帯前期古生代壺の沢変成岩と西南日本との共通性

*内野 隆之1 (1. 産総研地質調査総合センター)
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キーワード:

古生代地質体、壺の沢変成岩、氷上花崗岩類、ジルコン年代、対比


 日本列島の誕生は最前期古生代のカンブリア紀に,大陸縁辺部で沈み込みが開始され,それに伴い付加体やそれを原岩とした高圧変成岩の形成,陸弧の火成活動が起こったことが端緒であったとされる(例えば,Isozaki, 1996).その後,同様の活動は短期間の中断はあるものの大局的には現在まで概ね継続され原日本の成長をもたらしてきたが,新第三紀の日本海拡大を含む白亜紀以降の構造変形ならびに第四紀の火山活動などによって,古い地質体は断片化あるいは被覆され,その分布は限定的になっている.特に,日本列島における前期古生代の岩石・地層は,地質帯として認識できる規模としては主に東北日本の南部北上帯,西南日本内帯の飛騨外縁帯,西南日本外帯の黒瀬川帯に見られるのみである.そのような中,南部北上帯の中央部では氷上花崗岩類と呼ばれる後期オルドビス紀~前期シルル紀の古期花崗岩類が広く分布し,それは前期古生代における沈み込みや火成活動などのテクトニクスを考える上で重要な対象である.さらに,氷上花崗岩類は,壺の沢変成岩と呼ばれる片麻岩岩体をレンズ状に含んでおり,本片麻岩は砕屑岩起源であることから,氷上花崗岩類形成前の陸域の情報を記録していると考えられている.演者は前期古生代における現日本のテクトニックセッティングを解明する目的で,壺の沢変成岩を対象に研究を進めてきた.その結果,①同変成岩は非付加体の細粒砕屑岩を原岩とする黒雲母片麻岩とアナテキシスによって形成されたリューコゾームを含むミグマタイトからなること,②同変成岩の分布はミグマタイト,花崗岩質リューコゾーム優勢ミグマタイトを経て,氷上花崗岩類に漸移していること,③片麻岩の砕屑性ジルコンの最若クラスターU-Pb年代は約470 Maを,ミグマタイト中のリューコゾームの成長ジルコンリム年代は約440 Maを示すこと,が明らかにされた(Uchino et al., 2026).このことから,壺の沢変成岩の原岩は中期オルドビス紀に陸棚域で堆積し,オルドビス紀末〜シルル紀初頭にその堆積域に上昇してきた氷上花崗岩類(マグマ)によって広域の高温型変成作用を被り片麻岩になった,と解釈されている.本講演では,原日本が形成されたオルドビス紀~シルル紀にかけての島弧前縁域のテクトニックモデルを示すと共に,西南日本の黒瀬川帯に産する同様な時代・特徴を示す岩石との対比を試み,東北日本と西南日本の初生的なつながりについて議論する.

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