講演情報
[T12-P-3]地震-液状化に伴って形成した海底地滑り堆積物の層序パターン・基底構造の特徴
*山田 明慧1、浦本 豪一郎1、池原 実1、稲垣 史生2 (1. 高知大学、2. 国立研究開発法人海洋研究開発機構)
キーワード:
地震、液状化、海底地すべり
海底で生じる地滑りは、大規模に地層が動くマスムーブメントの一種で、その発生メカニズムを適切に理解することは重要である。海底地滑りの誘因には、地震や津波、火山活動、ガスハイドレートの分解などが挙げられ、こうした現象に伴う地層内の間隙水圧の上昇と有効応力の低下によってマスムーブメントが起こると考えられている(Biscontin et al.,2004)。これらの誘因のうち、地震による海底地滑りの発生要因としては、液状化やハイドロプレーニング現象を伴うことが重視されている (Kawakita et al., 2020).ただし、地震発生から、液状化やハイドロプレーニングを経て地滑りに至る一連のプロセスの関連性は、必ずしも関係性などは明らかになっていない。本研究では、液状化に伴った地滑りの発生と、形成する地滑り堆積物の特徴を理解することを目的として、液状化発生装置を使った実験と天然の海底堆積物の観察を組み合わせた検討を行った。
室内実験では、液状化発生装置(ナリカ社製)を用いた。実験では、水(水道水または炭酸水)を入れたアクリル製水槽に川砂を堆積させ、砂層に粘土塊を配置した。水は、通常の堆積物環境を模した実験のために水道水を用いた一方、本研究で解析する下記の大陸沿岸堆積物において、有機物分解等に由来する地層内ガスの挙動を想定して炭酸水を用いた。装置に傾斜を与えた状態で震動させ、粘土塊の挙動を目視観察ならびに実験後に医療用CTスキャナで撮影を実施した。天然の海底堆積物コアは、海底地すべりとみられる乱堆積物を挟在する襟裳岬沖(Exp. 910 C9033C)(Tonai et al., 2020)および四国沖(Exp 913 C9037A)の海底斜面から採取された試料を観察・記載した。
実験の結果、水道水を用いた場合、液状化による砂層からの脱水は生じたものの、粘土塊は砂層中に沈み込むように埋没する様子が観察された。これに対して、炭酸水を用いた実験では、砂層から液状化に伴う脱水に加えて、脱ガスが認められ、徐々に粘土塊と砂層が乖離して、粘土塊が滑動する様子が観察された。これらの観察から、地震に起因した海底地滑りの発生には、単に液状化による脱水だけでなく、脱ガスに伴う浮力の付与が重要な役割を果たす可能性が示唆された。
実験による観察結果を踏まえて天然の海底堆積物を観察した。今回の検討対象とした四国沖および襟裳岬いずれのコア試料も、多くの海底地滑り堆積層が直に砂層に累重しているパターンが共通して観察された。観察された砂層自体は塊状であり、明確な脱水・脱ガス構造は必ずしも認められなかったが、研究対象の堆積物コアには掘削時の脱ガスに伴う構造が認められており、有機物分解などに由来すると考えられるガスに富む堆積層であったことが示唆される。この点は、脱ガスが地滑り発生の一因となった間接的な証拠となるかもしれない。また、海底地滑り堆積層と直下の砂層の境界部には、粗粒砂層が認められる場合があった。これは、上位の地滑り移動体の滑動によって、下位の砂層表層が引きずられ、再配列した痕跡である可能性が考えられる。本発表では、観察された海底地滑り堆積物の層序パターンや構造の特徴を紹介する。
Biscontin et al., 2004, Marine Geology, 203, 341-353.
Kawakita et al., 2020, Progress in Earth and Planetary Science, 7, 62.
Tonai et al., 2020, Scientific Drilling, 27,25-33.
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン
