講演情報
[T12-P-7]新潟県十日町市南東部に露出する魚沼層群下部累層の堆積相と古土壌に基づく堆積サイクルの検討
*小池 享平1、葉田野 希1 (1. 新潟大学)
キーワード:
前期更新世、古土壌、海進ー海退、陸域シーケンス、サイクル性
はじめに:新潟県の中越~魚沼地域に分布する魚沼層群は,新潟盆地の一連の地層の最上部を占める更新統である.本層群は礫・砂・シルトの互層からなり,海成層と陸成層に区分される2.特に,東頸城丘陵において,本層群は海成層と非海成層の繰り返しからなり,第3次~第5次オーダーの堆積シーケンスが認定されている1,6.一方,主に陸成層からなる八石~魚沼地域では層相変化が激しいことや,侵食によって火山灰鍵層などの同時間面の追跡が困難とされる5.古土壌は,陸成層中の同時間面の指標となる可能性が高く,陸域シーケンスの復元に有効な手がかりになることが期待される3.本研究では,十日町市東部に分布する本層群下部累層を対象に,岩相記載および堆積相解析に加え,古土壌の野外記載と鏡下観察を行い,陸成層における堆積シーケンスと古土壌発達との関連を考察することを目的とする. 地質概説:調査地域に分布する魚沼層群は,下部累層,中部累層,上部累層に区分される2.本研究では,十日町市の川治川ルートと田川ルートにおいて,本層群下部累層を対象に堆積相解析と古土壌区分を行った.川治川ルートの中部累層には広域火山灰SK030(約1.15Ma,4)が認められる.また,両ルート間の対比には未命名軽石質火山灰を鍵層として用いた.
結果:堆積相解析により下部累層では19の堆積相と7の堆積組相に区分される.また,現地性植物化石(根化石),土色,割れ方,土壌微細構造に基づき,全31層準において古土壌を認定した.堆積組相と古土壌の特徴に基づき,本累層は下位より陸成層からなるユニットA~Cと陸成層と海成層からなるユニットDに区分される.ユニットAはチャネル堆積物と氾濫原堆積物の繰り返しからなり,しばしばクレバススプレイ堆積物および土石流堆積物を挟む.本ユニットAのチャネル堆積物は層厚1 mあたり2層準の頻度で認められる.また11層の古土壌が認められる.そのうち1層の古土壌は,灰色の土色を呈し,粘土集積が認められるCw層と赤~黄褐色の土色を呈し顕著な粘土集積および粘土基質の配列組織が認められるB層の土層分化を示す.ユニットBは氾濫原堆積物と湖成堆積物からなり,チャネル堆積物を層厚6 mあたり1層準挟む.本ユニットには5層の古土壌が認められる.その内4層の古土壌は,灰色の土色を呈し根化石の周りでのみ粘土集積が発達する弱発達土壌である.1層の古土壌は,土層全体がオリーブ灰色を呈し,粘土集積および斑紋が認められることから,地下水グライ化を被ったと解釈できる.ユニットCはチャネル堆積物と氾濫原の繰り返しからなる.チャネル堆積物は,ユニット下部で層厚3 mに1層準,中部で層厚1 mに1層準,上部で4mに1層準の頻度で挟まれる.また,4層の古土壌が認められる.そのうち,1層の古土壌は,赤~黄褐色系の土色を呈し,顕著な粘土集積が発達するB層を伴う.ユニットDは,最下部の層厚40cm礫支持礫岩層とその上位に重なる不淘汰含礫砂岩層を基底とし,主に多数の生痕と異地性植物を伴う不淘汰シルト~極細粒砂,生物擾乱を受けた塊状シルトからなる.チャネル堆積物は層厚8 mに1層準挟まれ,古土壌は2層認められる. 議論: ユニットAは,蛇行河川環境であったと推定される.B層を伴う古土壌が認められることは,氾濫原での地表露出期間が長かったことを示す.加えて,チャネル堆積物の挟在頻度が相対的に高いことから,上方累重よりも無堆積・侵食・風化が卓越する低海水準期堆積体の特徴3に類似する.ユニットBはチャネル堆積物の挟在頻度が低く,未発達土壌とグライ古土壌が認められることから,地表露出時間が短く,地下水位の高い条件が示唆される.このことは,堆積空間増加率が高く上方累重が卓越することに加え,基準面が高い海進期堆積体の特徴3に類似する.ユニットCは上方に向かってチャネル堆積物の挟在頻度および層厚が増大し,B層を伴う古土壌が認められることから,氾濫原において地表露出時間が長かったこと,および侵食が卓越するようになったことが考えられる.このことは,堆積空間増加率が再び低下し上方累重と側方移動の両立による高海水準期堆積体の特徴3に類似する.ユニットDは含礫凝灰質砂岩が海進期のラグ堆積物と推定され,干潟や湾頭デルタからエスチュアリ―中央部への環境変遷を含むデルタの前進による上方粗粒化サクセッションの繰り返す環境で堆積したと考えられる.
課題:今後の課題として,ユニットA~CとユニットDの周期性を明らかにし,前期更新世の寒冷化に伴う氷期―間氷期サイクルとの関係性を検討する必要がある.
文献:1.保柳ほか,2000,地球科学 54,393–404.2.風岡ほか,1986,地質学雑誌 92,829–853.3.Kraus,1999,Earth-Science 47,41–70.4.黒川,1999,石油技術協会誌 64,80–93.5.高野修,1998,堆積学雑誌 48,21–39.6.卜部ほか,1995,地質学論集 45,140–153.
結果:堆積相解析により下部累層では19の堆積相と7の堆積組相に区分される.また,現地性植物化石(根化石),土色,割れ方,土壌微細構造に基づき,全31層準において古土壌を認定した.堆積組相と古土壌の特徴に基づき,本累層は下位より陸成層からなるユニットA~Cと陸成層と海成層からなるユニットDに区分される.ユニットAはチャネル堆積物と氾濫原堆積物の繰り返しからなり,しばしばクレバススプレイ堆積物および土石流堆積物を挟む.本ユニットAのチャネル堆積物は層厚1 mあたり2層準の頻度で認められる.また11層の古土壌が認められる.そのうち1層の古土壌は,灰色の土色を呈し,粘土集積が認められるCw層と赤~黄褐色の土色を呈し顕著な粘土集積および粘土基質の配列組織が認められるB層の土層分化を示す.ユニットBは氾濫原堆積物と湖成堆積物からなり,チャネル堆積物を層厚6 mあたり1層準挟む.本ユニットには5層の古土壌が認められる.その内4層の古土壌は,灰色の土色を呈し根化石の周りでのみ粘土集積が発達する弱発達土壌である.1層の古土壌は,土層全体がオリーブ灰色を呈し,粘土集積および斑紋が認められることから,地下水グライ化を被ったと解釈できる.ユニットCはチャネル堆積物と氾濫原の繰り返しからなる.チャネル堆積物は,ユニット下部で層厚3 mに1層準,中部で層厚1 mに1層準,上部で4mに1層準の頻度で挟まれる.また,4層の古土壌が認められる.そのうち,1層の古土壌は,赤~黄褐色系の土色を呈し,顕著な粘土集積が発達するB層を伴う.ユニットDは,最下部の層厚40cm礫支持礫岩層とその上位に重なる不淘汰含礫砂岩層を基底とし,主に多数の生痕と異地性植物を伴う不淘汰シルト~極細粒砂,生物擾乱を受けた塊状シルトからなる.チャネル堆積物は層厚8 mに1層準挟まれ,古土壌は2層認められる. 議論: ユニットAは,蛇行河川環境であったと推定される.B層を伴う古土壌が認められることは,氾濫原での地表露出期間が長かったことを示す.加えて,チャネル堆積物の挟在頻度が相対的に高いことから,上方累重よりも無堆積・侵食・風化が卓越する低海水準期堆積体の特徴3に類似する.ユニットBはチャネル堆積物の挟在頻度が低く,未発達土壌とグライ古土壌が認められることから,地表露出時間が短く,地下水位の高い条件が示唆される.このことは,堆積空間増加率が高く上方累重が卓越することに加え,基準面が高い海進期堆積体の特徴3に類似する.ユニットCは上方に向かってチャネル堆積物の挟在頻度および層厚が増大し,B層を伴う古土壌が認められることから,氾濫原において地表露出時間が長かったこと,および侵食が卓越するようになったことが考えられる.このことは,堆積空間増加率が再び低下し上方累重と側方移動の両立による高海水準期堆積体の特徴3に類似する.ユニットDは含礫凝灰質砂岩が海進期のラグ堆積物と推定され,干潟や湾頭デルタからエスチュアリ―中央部への環境変遷を含むデルタの前進による上方粗粒化サクセッションの繰り返す環境で堆積したと考えられる.
課題:今後の課題として,ユニットA~CとユニットDの周期性を明らかにし,前期更新世の寒冷化に伴う氷期―間氷期サイクルとの関係性を検討する必要がある.
文献:1.保柳ほか,2000,地球科学 54,393–404.2.風岡ほか,1986,地質学雑誌 92,829–853.3.Kraus,1999,Earth-Science 47,41–70.4.黒川,1999,石油技術協会誌 64,80–93.5.高野修,1998,堆積学雑誌 48,21–39.6.卜部ほか,1995,地質学論集 45,140–153.
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