講演情報
[T12-P-15]ストロマトライト形成メカニズムを利用した海水棲シアノバクテリアの石灰化によるCO2隔離の検討★2026年度学生優秀発表賞受賞★
*永長 蓮1、林 雅浩2、白石 史人1 (1. 広島大学先進理工系科学研究科先進理工系科学専攻地球惑星システム学プログラム、2. ENEOS)
キーワード:
ストロマトライト、石灰化、シアノバクテリア、CCS、微小電極
地球温暖化対策として,CO2回収・貯留(CCS)の重要性が高まっている.過去の地球では,海水環境においてシアノバクテリアなどの微生物がCaCO3を沈殿させることでストロマトライトが形成され,大量のCO2が固定された.本研究ではこのプロセスに着目し,海水棲シアノバクテリアの石灰化(CaCO3沈殿)によるCO2隔離能を評価した.国立環境研究所から海水棲シアノバクテリアCalothrix parasitica(NIES-267)を入手し,ガラスフィルター上でマット化した.これを人工海水で満たしたフローセル内に設置し,光量約1000 µmol/m2/sでインキュベートした.マット表面近傍(表面から1 mmの範囲)におけるpH,O2濃度,Ca2+濃度は微小電極によって測定し,得られたCa2+濃度勾配からフラックスを算出した.評価の指標として,森林のCO2吸収量である10 t-CO2/ha/yearに相当するCa2+フラックス(5.28 × 10−7 mol/m2/s)を目標値に設定した.実験の結果,Calothrixはマットが厚く固着性も高い特性が確認され,Ca2+フラックスは目標値と同等かそれ以上であった.実際に,実験回収試料をSEM-EDSで観察するとCaCO3の沈殿物が確認された.以上よりCalothrixは海水環境における石灰化,そしてCO2隔離に高い適性を有することが示された.今後はCalothrixを用いてより自然環境に近似した12時間の明暗サイクル下で長期実験を行い,CaCO3沈殿量の増加およびその定量的評価を目指す.
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