講演情報
[T11-P-5]千葉県中央部及び北部延長域の3次元地質地盤図整備
*野々垣 進1、小島 隆宏2,3、吉田 剛4、風岡 修3、米岡 佳弥1、中澤 努1 (1. 産総研地質調査総合センター、2. 北海道立総合研究機構 エネルギー・環境・地質研究所、3. 元千葉県環境研究センター、4. 千葉県環境研究センター)
キーワード:
都市域、3次元地質モデル、ボーリングデータ
大規模地震にともなう地盤沈下や液状化,強震動等の地盤リスク評価の高精度化には,詳細な地質情報の整備が不可欠である.産業技術総合研究所地質調査総合センター(以下,GSJ)では,経済産業省による知的基盤整備の一環として,自治体と協力しながら,都市平野部の地下数十メートルに分布する地層の広がりを,3次元地質モデルを用いて詳細に表現する“3次元地質地盤図”の整備に取り組んでいる(米岡ほか,2025など).本年3月,千葉県内の3次元地質地盤図の整備範囲を拡大し,新たに千葉市の一部,市原市の一部,袖ケ浦市の一部を含む「千葉県中央部」(野々垣ほか,2026)と,野田市の大部分と柏市の一部を含む「千葉県北部延長域」(米岡ほか,2026)の3次元地質地盤図を公開するに至った.本発表では,これら2地域の3次元地質地盤図について,3次元地質モデルの作成方法を中心に紹介する.
3次元地質地盤図整備で扱う3次元地質モデルは,複数の地層基底面の形状を重ね合わせて地層の分布形態を示すサーフェスモデル型の3次元データである.3次元地質モデル作成では,まず対象地域の地下約100m以浅における標準的な層序を明確にするために,層相,年代,化石,物性などの情報をもつ層序ボーリングデータ(基準ボーリングデータ)を整備した.そのうえで,各地域の3次元地質モデルで表現する地層を設定した.具体的には,千葉県中央部については更新統と沖積層の2つの地層を設定した.千葉県北部延長域については,形成時期の古いものから順に地蔵堂層,薮層,上泉層,清川層,木下層上部,常総層,沖積層という7つの地層を設定した.次に基準ボーリングデータを軸に,土木建築工事で作成された既存ボーリングデータについて地層の対比を行った.既存ボーリングデータには,千葉県環境研究センターから提供いただいたものを用いた.続いて,野々垣ほか(2008)の手法に基づき,地層の対比処理から得た各ボーリング地点における地層境界の標高情報を用いて,3次元地質モデルで表現する地層の基底面の形状を推定した.すなわち,千葉県中央部では沖積層の基底面の形状を,千葉県北部延長域では薮層から沖積層までの6つの地層の基底面の形状を推定した.最後に,地層の切った切られたの関係を考慮しながら基底面および地形面を重ね合わせることで,それぞれの地域の3次元地質モデルを得た.作成した3次元地質モデルは,既公開の地質地盤図と同様に,GSJのウェブサイト「都市域の地質地盤図」[URL1]において平面図や断面図,立体図の形式で公開した.
3次元地質地盤図の特徴は,上記ウェブサイトで示すように地下の地質構造を様々な形式で視覚化できる点に加え,各種数値解析への応用が容易な点にある.このため,3次元地質地盤図には地盤リスク評価の高精度化やインフラ整備の効率化など,さまざまな用途が期待できる.今後は首都圏主要部の整備範囲を更に拡大するとともに,個別地域で整備した3次元地質地盤図をつなぎ合わせたシームレス版3次元地質地盤図の整備を目指す予定である.
文献
野々垣進ほか(2008)3次B-スプラインを用いた地層境界面の推定,情報地質,Vol.19,pp.61–77.
野々垣進ほか(2026)都市域の地質地盤図「千葉県中央部」(説明書).28p.
米岡佳弥ほか(2025)都市域の地質地盤図「埼玉県南東部」(説明書).74p.
米岡佳弥ほか(2026)都市域の地質地盤図「千葉県北部延長域」(説明書).40p.
[URL1] 産総研地質調査総合センター,都市域の地質地盤図,https://gbank.gsj.jp/urbangeol/.
3次元地質地盤図整備で扱う3次元地質モデルは,複数の地層基底面の形状を重ね合わせて地層の分布形態を示すサーフェスモデル型の3次元データである.3次元地質モデル作成では,まず対象地域の地下約100m以浅における標準的な層序を明確にするために,層相,年代,化石,物性などの情報をもつ層序ボーリングデータ(基準ボーリングデータ)を整備した.そのうえで,各地域の3次元地質モデルで表現する地層を設定した.具体的には,千葉県中央部については更新統と沖積層の2つの地層を設定した.千葉県北部延長域については,形成時期の古いものから順に地蔵堂層,薮層,上泉層,清川層,木下層上部,常総層,沖積層という7つの地層を設定した.次に基準ボーリングデータを軸に,土木建築工事で作成された既存ボーリングデータについて地層の対比を行った.既存ボーリングデータには,千葉県環境研究センターから提供いただいたものを用いた.続いて,野々垣ほか(2008)の手法に基づき,地層の対比処理から得た各ボーリング地点における地層境界の標高情報を用いて,3次元地質モデルで表現する地層の基底面の形状を推定した.すなわち,千葉県中央部では沖積層の基底面の形状を,千葉県北部延長域では薮層から沖積層までの6つの地層の基底面の形状を推定した.最後に,地層の切った切られたの関係を考慮しながら基底面および地形面を重ね合わせることで,それぞれの地域の3次元地質モデルを得た.作成した3次元地質モデルは,既公開の地質地盤図と同様に,GSJのウェブサイト「都市域の地質地盤図」[URL1]において平面図や断面図,立体図の形式で公開した.
3次元地質地盤図の特徴は,上記ウェブサイトで示すように地下の地質構造を様々な形式で視覚化できる点に加え,各種数値解析への応用が容易な点にある.このため,3次元地質地盤図には地盤リスク評価の高精度化やインフラ整備の効率化など,さまざまな用途が期待できる.今後は首都圏主要部の整備範囲を更に拡大するとともに,個別地域で整備した3次元地質地盤図をつなぎ合わせたシームレス版3次元地質地盤図の整備を目指す予定である.
文献
野々垣進ほか(2008)3次B-スプラインを用いた地層境界面の推定,情報地質,Vol.19,pp.61–77.
野々垣進ほか(2026)都市域の地質地盤図「千葉県中央部」(説明書).28p.
米岡佳弥ほか(2025)都市域の地質地盤図「埼玉県南東部」(説明書).74p.
米岡佳弥ほか(2026)都市域の地質地盤図「千葉県北部延長域」(説明書).40p.
[URL1] 産総研地質調査総合センター,都市域の地質地盤図,https://gbank.gsj.jp/urbangeol/.
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