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[T7-P-28]東北日本弧背弧域におけるグリーンタフ層の地球化学的特徴とテクトニクス変遷

*野中 美雪1,2、海野 進2 (1. 石油資源開発(株)、2. 金沢大学)
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キーワード:

グリーンタフ、片貝地域、津川・只見地域、微量元素、希土類元素、REEパターン、背弧リフト、背弧海盆、東北日本弧

 日本海拡大期における東北日本弧のマグマ形成過程とその時空間変遷を解明するため、新潟県小千谷市および長岡市の片貝地域のグリーンタフ層坑井試料、新潟県東蒲原郡津川地域および福島県南会津郡只見地域の地表試料を対象に、火山岩の薄片記載ならびに主成分元素・微量元素組成分析を行い、岩石鉱物学的および地球化学的検討を行った。
変質で動きにくい不適合元素に対してその他の元素の変化を検討した結果、主成分元素および不適合元素は変質の影響を受けている一方で、その他の微量元素は初生的な組成を概ね保持していることが確認された。
微量元素をコンドライトおよびN-MORBで規格化した希土類元素(REE)パターンに基づき、7グループに分類した。すなわち、La/Yb比が低く平坦なREEパターンを示すAグループ、La/Yb比が中程度で軽希土類元素から重希土類元素にかけて直線的に減少するBグループ、La/Yb比が高く軽希土類元素から中希土類元素にかけて急激に減少し重希土類元素が平坦なCグループ、La/Yb比が中程度で軽希土類元素が減少し中~重希土類元素にかけて平坦なDグループ、La/Yb比が低く中~重希土類元素が増加するEグループ、La/Yb比が非常に高く軽希土類元素から重希土類元素にかけて指数的に減少し負のユーロピウム異常を持つFグループ、 La/Yb比が高く軽希土類から重希土類に掛けて緩やかに減少するGグループである。
各グループの主要元素と岩石組織の特徴から、Aグループ、BグループおよびGグループは玄武岩~安山岩、Cグループは安山岩、Eグループは安山岩~流紋岩、DグループおよびFグループはデイサイト~流紋岩に分類される。Aグループのうち玄武岩はサブオフィティック組織および填間状組織を呈し、安山岩はガラス質組織、填間状組織もしくはピロタキシティック組織を呈する。Bグループは填間状組織もしくはハイアロオフィティック組織を、Gグループはオフィティック組織を呈する。Cグループは斑状組織を呈するひん岩、凹型はガラス質組織、填間状組織もしくはピロタキシティック組織を呈する。Dグループはガラス質組織もしくはピロタキシティック組織を、EグループおよびFグループは真珠状組織を呈する。
片貝地域および津川・只見地域の火山岩類のREEパターンは、伊豆-小笠原弧、東四国海盆火山、トンガ前弧、アリューシャン弧で見られる火山岩のREEパターンと類似する。具体的には、Eグループは低Kで軽希土類元素に乏しい青ヶ島・須美寿島・鳥島などの流紋岩と、Aグループ、Dグループは明神海丘・明神礁・須美寿海丘・須美寿島南・鳥島北西などの低Kで比較的平坦なREEパターンを持つ火山岩と、Bグループ、Fグループは須美寿海丘・須美寿島南・鳥島北西などの中~高Kで軽希土類元素に富む火山岩のREEパターンとそれぞれ類似する(Heywood et al., 2020, Geochemistry, Geophysics, Geosystems)。Cグループは東四国海盆の中K玄武岩~安山岩のパターン(Ishizuka et al., 2009, Chemical Geology)、Gグループはアリューシャン弧エモンズ火山の高Al玄武岩 (Mangan et al., 2009, Earth and Planetary Science Letters) のREEパターンとそれぞれ類似する。
片貝地域および津川・只見地域の玄武岩~安山岩のうちCグループおよびEグループは Th/La比が高く海洋堆積物の関与を示す。またTh/La-Sm/Laのプロットでは、はTh/La比が高く Sm/La比が低いため、本州弧の堆積物の端成分に近い。一方、Aグループ、Bグループ、DグループおよびGグループは Th/La比が低くSm/La 比が高いため、本州弧のマントル物質の端成分に近い。
以上の検討結果より、東北日本弧拡大初期の背弧リフト期にはAグループ、Dグループが形成され、リフトが進行した背弧海盆形成期にCグループが形成されたと考えられる。その後、島弧火山活動期に背弧海山列でBグループおよびFグループが、火山フロントではEグループ、およびGグループが形成されたことが示唆される。また背弧リフト期のグループは片貝地域全域に、背弧海盆形成期のグループは片貝地域南部および只見地域、背弧海山列のグループは主に津川・只見地域に、火山フロントのグループは片貝北部に分布することから、それぞれの活動期で火山活動の中心が遷移したと考えられる。

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