講演情報

[T7-P-32]岩木火山における後期更新世以前の火山活動史

*谷内 元1、古川 竜太1、山﨑 誠子1、石射 一希1,2 (1. 産業技術総合研究所・地質調査総合センター、2. 茨城大学)
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キーワード:

岩木火山、Ar/Ar年代測定、火山活動履歴

1. はじめに
 火山の中長期活動履歴とマグマの成因を解明する上で、火山噴出物の形成順序や年代は重要な基礎情報となる。また、完新世に活動実績を有する活火山で活動の特徴を把握することは火山防災上も重要であるが、火山の活動期間を考慮すると、更新世の情報も把握することで、活動の継続性や噴出中心の時空間変遷を評価することが可能となる。現在、産業技術総合研究所・地質調査総合センターでは、東北日本弧北部の背弧側に位置する第四紀複成火山である岩木山の火山活動履歴調査を行なっている。今回、岩木山の特に後期更新世以前の火山活動史について、新たに分析したAr/Ar年代測定の結果から明らかになった点を中心に報告する。

2. 地形
 岩木山は主成層火山体、その上位に形成され主に西斜面から現在の山頂に分布する溶岩ドーム群および層厚が比較的厚い溶岩流、そして側火山の溶岩ドームからなる複成火山である。今回、航空レーザー測量結果を基とした 1 m DEMから作成された赤色立体地図を用いて、火山体の地形解析を行った。主成層火山体は北側で最も開析が進み、東側でも尾根地形が発達する。一方、南側から西側では火山原斜面やローブ状地形が保存される。つまり、成層火山体の侵食・開析の程度は北側で最も大きく、東側、南側、西側に向かうにつれて小さくなる。

3. 主成層火山体の形成開始年代
 主成層火山体の形成年代は佐々木(1996, 火山学会要旨)がK-Ar法で 0.33 ± 0.04 〜 0.16 ± 0.03 Ma の年代を報告している。本研究でも岩木山で最も侵食の進んだ沢の一つである赤倉沢に露出する最下位の溶岩流から 298.7 ± 4.6 ka(n=2、加重平均年代、誤差は2σ)の Ar/Ar 年代を得た。このことから、主成層火山体の形成は約 30 万年前には既に始まっていたことを再確認した。地形解析の結果も考慮すると、この主成層火山体を形成した活動の主体は、後述する山体西部の溶岩流および溶岩ドーム群の形成以前にほぼ終了していたと考えられる。

4. 側火山の形成年代
 本研究では新たに側火山を構成する溶岩ドームの年代測定を行った。その結果、森山溶岩ドームから 337.2 ± 3.7 ka、小森山溶岩ドームから 261.2 ± 6.9 ka、笹森山溶岩ドームから 226.4 ± 10.0 ka の年代を得た。つまり、側火山活動は約 34 万〜 23 万年前に生じており、その活動時期は主成層火山体形成期と概ね重複していた。

5. 最近約15万年間の活動
 主成層火山と比較して相対的に新鮮な火山地形を示す山体西側から山頂付近にかけて分布する噴出物について、佐々木(1996, 火山学会要旨)が未分析の噴出物ユニットを中心に年代測定を行った。その結果、黒森溶岩ドームから 149.9 ± 4.3 ka、大鳴沢溶岩流から 131.7 ± 3.1 ka および 116.8 ± 2.7 ka、追子森溶岩流から 88.6 ± 9.1 ka、鳥海山溶岩ドームから 19.8 ± 3.5 ka の年代を得た。層序関係と年代測定結果を総合すると、最近約 15 万年間の噴出中心は西山麓から現在の山頂部へ向かって段階的に移動していたことが判明し、その間に顕著な活動休止期は認められないことが明らかとなった。

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