講演情報
[T14-P-2]蛍光する紅柱石含有御岩山変成流紋岩類の続報ーロウ石鉱床母岩との比較とU-Pb放射年代
*田切 美智雄1、鈴木 保光、島崎 純生2、門馬 綱一3、柴田 翔平4、高野 夏波5、長谷川 健5、伊藤 久敏6 (1. 日立市郷土博物館、2. ミュージアムパーク茨城県自然博物館、3. 国立科学博物館、4. 新潟大学、5. 茨城大学、6. 電力中央研究所)
キーワード:
過アルミナ質流紋岩、カンブリア系日立火山深成複合岩体、ロウ石鉱床、U-Pb放射年代、紫外線発光、紅柱石
日立市の御岩山は常陸国風土記の「賀毘礼の高嶺」の遺称地とされ,古くから祭祀場所であったと考えられており,御岩山上祭祀遺跡に指定されている(図1).この祭祀遺跡は御岩山変成流紋岩岩類で構成される岩峰に分布している(田切ほか,2025).御岩山変成流紋岩類はカンブリア系日立火山深成複合岩体に属し(田切ほか,2016)(図2),粗粒紅柱石含有珪長質片岩(CAF),細粒紅柱石含有鉄鉱珪長質片岩(FAIF),紅柱石白雲母片岩と,紅柱石を含まない白雲母片岩と珪長質片岩の5種の岩相で構成されている.CAFとFAIFが主岩相で,互いに密接に共存して,御岩山岩峰の中心部に広く分布する.CAFは緻密な乳白色の岩相で,FAIFは多孔質な赤褐色の岩相である.FAIFは数cm幅の岩脈としてCAFの流理に沿って貫入しており,しばしば流理を切ったり,流動変形の頂部に濃集する.CAFとFAIFの境界部では空孔がCAFとの境界に向かって細粒化する急冷組織を示す.CAFとFAIFは酸化鉄鉱物の含量の違いを除けば同じ性質の化学組成であり,構成鉱物も同じである.主岩相のこのような産状は噴出流紋岩の火山組織と判断される.その分布と産状から,原岩は火山岩脈であり、地表近い場所に貫入した火道火山岩である.御岩山変成流紋岩類の全岩化学組成を過アルミナ質流紋岩4種(Busaidi et al., 2024; 神谷,1974; Morgan et al., 1998; 弓削ほか,1998; )とロウ石鉱床の鉱石組成(岩生,1950; 中村・上野,1955)と比較検討した.(Na2O+K2O)−SiO2組成図では御岩山流紋岩類は極めてアルカリ元素の乏しい岩石で,過アルミナ質流紋岩組成とは異なる(図3).Al2O3/(Na2O+K2O)−Al2O3/(CaO+Na2O+K2O)組成図では,参照した過アルミナ質流紋岩に比して著しくAl2O3に富み,ロウ石化した鉱石組成に至るトレンドを示す(図4と5).ロウ石鉱床には紅柱石が形成されている例が多数知られており(例えば,弓削ほか,1998),御岩山変成流紋岩類の紅柱石はロウ石化の過程で形成された可能性が考えられる.しかしカオリナイトやパイロフィライトは共存せず,白亜紀末期の変成作用で現在の珪長質片岩となっている.御岩山変成流紋岩類から20㎛以下の極細粒ジルコン4粒を分離し,LA-ICP-MSを用いてU-Pb放射年代を測定し,白亜紀変成作用の年代88.5±10.6Maを得た.多様な産状の紅柱石について短波長紫外線を照射して蛍光を検証し,ホルンフェルス中やロウ石鉱床中の紅柱石が強く発光することが確認された(図6).
引用文献 Busaidi et al., 2024. Journal of Mineralogical and Petrological Science. 119: 005.岩生,1950.地質調査所月報,1,1-7.神谷,1974.地質調査所月報,25,105-124.Morgan et al., 1998.Journal of Petrology, 39, 601-632.中村・上野,1955.地質調査所月報,6,351-358.田切ほか,2025.地質学会第132学術大会.田切ほか,2016.地質学雑誌,122,231-247.弓削ほか,1998.地質学雑誌,104,159-170.
引用文献 Busaidi et al., 2024. Journal of Mineralogical and Petrological Science. 119: 005.岩生,1950.地質調査所月報,1,1-7.神谷,1974.地質調査所月報,25,105-124.Morgan et al., 1998.Journal of Petrology, 39, 601-632.中村・上野,1955.地質調査所月報,6,351-358.田切ほか,2025.地質学会第132学術大会.田切ほか,2016.地質学雑誌,122,231-247.弓削ほか,1998.地質学雑誌,104,159-170.
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