講演情報
[J-P-3]キリガイダマシ化石の変形を用いた師崎層群泥岩の圧密推定
*名古屋 中学校1 (1. 名古屋中学校)
研究者氏名;信藤 雅翔(Shindo Masato),吉川 直喜(Yoshikawa Naoki),堀越 健太郎(Horikoshi Kentaro) ,溝神 幸文(Mizokami Yukihumi)
名古屋高校地球科学部・名古屋中学校自然科学部の調査によれば,師崎層群豊浜層露出域である南知多町豊浜坂井海岸では,サガキリガイダマシ化石(fig.8)が2層準に密集して産出し,他にもまばらに産出する(fig.1,fig.2,fig.3)。地層の傾斜は北東向きに7°から13°程度である。上位の密集層準から師崎層群から産出する化石は層理面に垂直な方向の圧密により破壊されていることが多い。個体の圧密のようすを計測するのは精密切断やCTスキャンによる計測が必要で,化石クリーニング技術や道具のそろわない中学生高校生が行うのは一般には困難と考えてきた。しかし,筆頭著者の信藤・吉川は上位の密集層準より変形したキリガイダマシ化石2点を大きな破損なく取り出すことに成功した。キリガイダマシ化石はほぼ層理面と平行に横たわっており,最大圧縮方向の層理面に垂直な方向(ほぼ鉛直方向)に圧密変形を受けている。層理面に平行な削剥を受けた地層に現れたキリガイダマシ化石の剥離,固定,持ち帰りに成功した。キリガイダマシの断面は本来ほぼ真円であるので,変形を受けた化石の縦横比が地層の圧縮の度合いを表すと考え,計測を行った。また,比較のために,瑞浪層群戸狩層の凝灰質シルト岩の化石密集層準から採取された,層理面に平行に横たわっていたキリガイダマシ化石1点の横断面の偏平率も計測した。
南知多町で師崎層群豊浜層泥岩から得られた2点のキリガイダマシ標本をA,B,瑞浪市で瑞浪層群戸狩層凝灰質シルト岩から得られたキリガイダマシ標本をCとする。各標本の殻頂からの距離と偏平率との関係はfig.4-fig.7のようになった。師崎層群から得られた2点のキリガイダマシ化石の断面の偏平率は殻頂付近では小さく,殻口付近では大きい。殻の潰れは均一ではなく,殻頂付近は破断のない変形を受け,殻口に近い部分では潰れている傾向がある。計測結果が判明するまではキリガイダマシにかかる地層の圧力(応力)はどこでも均一で,変形後の偏平率が地層の圧密率に一致すると仮定していたが,計測結果から,殻の偏平率と地層の圧密の圧密率は異なる場所があると考えざるをえない。
値を見る、値を計測し圧密度を出したところ殻口にかけて明らかに圧密度が大きい場所が確認できた。これにより圧力が均一ではない可能性が出てきた。一方,瑞浪で得られた標本は均等に変形しており,どこかが壊れているようすではない。圧力(応力)が均等にかかっているものと考えられる。
師崎層群から産出したキリガイダマシでは偏平率が50〜60%に対し瑞浪で産出したものは偏平率が0~10%であった。明らかに瑞浪層群から産出したキリガイダマシの方が変形が少ない。また,師崎層群から得られたキリガイダマシでは螺塔の殻頂付近はつぶれておらず,螺塔の体層付近つぶれている傾向にある。キリガイダマシの螺塔の殻頂付近は応力に耐え,壊れにくい性質を持つものと考えられる。したがって,師崎層群の泥岩層の受けた応力はキリガイダマシの殻頂から離れた部分が潰れるほどの大きさあったが瑞浪層群の凝灰質シルト岩が受けた応力はキリガイダマシが潰れない程度のものであったとわかる。殻頂付近だけ応力が小さくならないと考えると師崎層群ではつぶれた部分の偏平率が地層の圧密度に一致し,瑞浪層群では殻口付近の偏平率が地層の圧密度に一致すると考えられる。この考えに従うと,師崎層群の泥岩層の圧密度は50%~60%程度,瑞浪層群の凝灰質シルト岩層の圧密度は8%~17%程度と考えるのが妥当であろう。
塩屋浦の田中様・ご家族には所有地の立ち入り調査を許可いただき,立ち入りに便宜を図っていただいた。豊浜坂井の地権者の家田様ご家族には,立ち入り調査の許可,サンプリングの許可,お心遣いをいただいた。記して,感謝する。また,比較に使用した展示品からのレプリカ作成に同意いただいた関係者に感謝する。
キーワード:師崎層群 豊浜層 泥岩 キリガイダマシ 変形
名古屋高校地球科学部・名古屋中学校自然科学部の調査によれば,師崎層群豊浜層露出域である南知多町豊浜坂井海岸では,サガキリガイダマシ化石(fig.8)が2層準に密集して産出し,他にもまばらに産出する(fig.1,fig.2,fig.3)。地層の傾斜は北東向きに7°から13°程度である。上位の密集層準から師崎層群から産出する化石は層理面に垂直な方向の圧密により破壊されていることが多い。個体の圧密のようすを計測するのは精密切断やCTスキャンによる計測が必要で,化石クリーニング技術や道具のそろわない中学生高校生が行うのは一般には困難と考えてきた。しかし,筆頭著者の信藤・吉川は上位の密集層準より変形したキリガイダマシ化石2点を大きな破損なく取り出すことに成功した。キリガイダマシ化石はほぼ層理面と平行に横たわっており,最大圧縮方向の層理面に垂直な方向(ほぼ鉛直方向)に圧密変形を受けている。層理面に平行な削剥を受けた地層に現れたキリガイダマシ化石の剥離,固定,持ち帰りに成功した。キリガイダマシの断面は本来ほぼ真円であるので,変形を受けた化石の縦横比が地層の圧縮の度合いを表すと考え,計測を行った。また,比較のために,瑞浪層群戸狩層の凝灰質シルト岩の化石密集層準から採取された,層理面に平行に横たわっていたキリガイダマシ化石1点の横断面の偏平率も計測した。
南知多町で師崎層群豊浜層泥岩から得られた2点のキリガイダマシ標本をA,B,瑞浪市で瑞浪層群戸狩層凝灰質シルト岩から得られたキリガイダマシ標本をCとする。各標本の殻頂からの距離と偏平率との関係はfig.4-fig.7のようになった。師崎層群から得られた2点のキリガイダマシ化石の断面の偏平率は殻頂付近では小さく,殻口付近では大きい。殻の潰れは均一ではなく,殻頂付近は破断のない変形を受け,殻口に近い部分では潰れている傾向がある。計測結果が判明するまではキリガイダマシにかかる地層の圧力(応力)はどこでも均一で,変形後の偏平率が地層の圧密率に一致すると仮定していたが,計測結果から,殻の偏平率と地層の圧密の圧密率は異なる場所があると考えざるをえない。
値を見る、値を計測し圧密度を出したところ殻口にかけて明らかに圧密度が大きい場所が確認できた。これにより圧力が均一ではない可能性が出てきた。一方,瑞浪で得られた標本は均等に変形しており,どこかが壊れているようすではない。圧力(応力)が均等にかかっているものと考えられる。
師崎層群から産出したキリガイダマシでは偏平率が50〜60%に対し瑞浪で産出したものは偏平率が0~10%であった。明らかに瑞浪層群から産出したキリガイダマシの方が変形が少ない。また,師崎層群から得られたキリガイダマシでは螺塔の殻頂付近はつぶれておらず,螺塔の体層付近つぶれている傾向にある。キリガイダマシの螺塔の殻頂付近は応力に耐え,壊れにくい性質を持つものと考えられる。したがって,師崎層群の泥岩層の受けた応力はキリガイダマシの殻頂から離れた部分が潰れるほどの大きさあったが瑞浪層群の凝灰質シルト岩が受けた応力はキリガイダマシが潰れない程度のものであったとわかる。殻頂付近だけ応力が小さくならないと考えると師崎層群ではつぶれた部分の偏平率が地層の圧密度に一致し,瑞浪層群では殻口付近の偏平率が地層の圧密度に一致すると考えられる。この考えに従うと,師崎層群の泥岩層の圧密度は50%~60%程度,瑞浪層群の凝灰質シルト岩層の圧密度は8%~17%程度と考えるのが妥当であろう。
塩屋浦の田中様・ご家族には所有地の立ち入り調査を許可いただき,立ち入りに便宜を図っていただいた。豊浜坂井の地権者の家田様ご家族には,立ち入り調査の許可,サンプリングの許可,お心遣いをいただいた。記して,感謝する。また,比較に使用した展示品からのレプリカ作成に同意いただいた関係者に感謝する。
キーワード:師崎層群 豊浜層 泥岩 キリガイダマシ 変形
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