講演情報

[J-P-7]二次元的なウェーブリップル再現装置の製作と定量化

*中央大学 附属高等学校1 (1. 中央大学附属高等学校)
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研究者氏名:小田切凉梧

Ⅰ研究背景・目的
 リップルマーク(以下RM)とは水の流れや風によって動かされた砂が堆積してできる漣痕のことである.しかし,実験での先行研究では数値を出さず,どのような形状のRMが形成されたかや特定の振動数によるものが多く複数の条件で行っている実験が少ない.そこで,数値を計測しRMの定量化は新たな発見となると考えた.現在RMが何Hzの波の時どのような形状でできるのかということが分かっていない.また、先行研究での波を起こす大型で値段もかなり高額である.よって,本研究の目的は低額で波の発生装置を製作し,その装置を使用して振動数を変化させたときのRMの定量化を行うこととする.また,リップルマークを高校地学の授業で扱う際の実験教材として開発することも目的とする.

Ⅱ研究方法
 本研究が対象とするRMは波の種類によって形成される形状が違うものである.主に進行波によって形成されるカレントリップル,定常波によって形成されるウェーブリップルがある.今回はウェーブリップル(以下WR)に注目して研究を行う.
 WRを作るためにモーターで台車を往復運動させて波を作る.この際,モーターにクランク機構をつなげて台車を往復させる.本研究ではモーターの回転運動を往復運動に変換するために使用しコネクティングロッドをLEGOで,スライドを木の棒のレールを用いて作成した.(図1・図2)
 また,本研究の目的であるWRの定量化を示すためにリップル対称度指数(RSI)を用いる.先行文献ではRI及びRSIはウェーブリップルとカレントリップルを区別するために提唱された指数で,牧野ほか(1985)によると,RSIが2.5以下ならウェーブリップル,3.0以上ならカレントリップルと分類している.RSI(山と谷との長さのうち下流側をLL,上流側をLsとする)=Ls/LLを用いれば形成されたリップルマークを分類することができる.しかし,本研究は往復運動によるRMの形成のためWRしか形成されないと仮定した.そして,どのようなときにどのようなWRができるかを示すために振動数を用いた.振動数は1秒間に山と谷の往復を繰り返す回数のことであるから10秒間撮影を行いその動画で山が繰り返す回数を数え10秒で割って求めた.
 手順としては、容器(内寸幅4.9cm×奥行25.5cm×高さ17cm)の下に滑り止めシートを敷いて実験を行った.
①容器に,ふるいで250~500μmにした砂1cmと水深3cmの真水を入れる.
②モーターを5分間振動,形成されたWRの上流側と下流側を計測.なお,モーターがある方を上流とする.
③実験中の撮影を行う.
④撮影した5分間のうちの任意の10秒間を用いて振動数を求める.
⑤モーターの出力度を変えて①~④を繰り返す.
⑥真水を食塩水(海水モデル:塩分濃度35‰)に変えて①~⑤を繰り返す.
⑦砂の粒度を250μm以下にして,①~⑥を繰り返す.
⑧水深を2cmにして,①~⑦を繰り返す.

Ⅲ結果
 砂の粒度250~500μm・水深3cm・真水の場合は振動数1.0Hz~2.8Hzのときに明確にRMが形成された(図3・図4).真水で記録されたRSI数値は2.5RSI以下でありすべてウェーブリップルであると判断された.また,真水と海水モデルどちらも振動数1.8㎐の時に最大のRSI数値が記録された.真水と海水のRSIを比較すると真水のほうが高い傾向にある(図5・図8).振動数1.1㎐~2.8㎐の時に形成されたRSI数値の誤差範囲は±0.1RSIであった.砂の粒度を250㎛μm以下にしてもリップルマークは形成された.(図6~図8)しかし,海水・水深2cmではリップルは形成されなかった(図9~図11).上記の結果により実験教材としての開発も目的を達成した.

Ⅳ考察
 振動数を変化させることによるWR のモデル実験が可能である.グラフから測定値は,すべてWRのRSIの範囲内だったため仮定は正しい.また,真水のRSI数値のほうが高い傾向にある.海水モデルは食塩水を加えたことによって水の粘性や密度が上がり、砂が移動しづらくなったと思われる.

Ⅴ今後の課題
 本研究では,水槽の幅が限られ横方向の流れがほとんど発生しない,流れは一定方向のみで風や川のような複雑な流れが再現できないという特定の条件下で実験を行ったため,自然界での状況と合致することが少ない.これを改良して実験パターンを増やしていきたい. 

Ⅵ引用文献
牧野泰彦・増田富士雄・岡崎浩子,1985,茨城大学教育学部紀要(自然科学)34,35-55.

Ⅶ謝辞
 本研究にあたり,指導してくださった大野木麻帆子様(中央大学),田島丈年先生・三輪貴信先生・不破悠先生(以上中央大学附属高等学校)に深謝申し上げる.

キーワード
ウェーブリップル,リップル対称度指数,振動数,定量化

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