講演情報

[T4-P-6]スリランカ・カタラガマクリッペに産する超高温変成作用を示唆する黒雲母―珪線石―ザクロ石片麻岩

*稲村 優佳1、東野 文子1、河上 哲生1、廣井 美邦2、本吉 洋一2、石川 正弘3、本多 聡子3、小林 記之4、プレーム バーナード5 (1. 京都大学、2. 国立極地研究所、3. 横浜国立大学、4. 名古屋学院大学、5. スリランカ地質調査所)
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【ハイライト講演】超高温変成作用は約900℃を超える変成作用であるが,地球上の限られた地域でしか報告されておらず,スリランカのカタラガマクリッペではこれまで報告されていない.本講演では,片麻岩に含まれる長石やルチルを用いた地質温度計を適用し,900℃以上の超高温変成作用を経験したことを見出した.この結果は,ゴンドワナ大陸衝突時の地殻深部プロセスの理解に新たな制約を与える成果である.  ※ハイライト講演とは...

キーワード:

高度変成岩類、大陸衝突帯、ternary feldspar温度計、Zr-in-rutile温度計


 超高温変成作用とは、900℃を超える温度条件かつおおむね5 kbar以上でdT/dP=66-200℃/kbarを満たす変成作用であり、活動的大陸地殻深部で起こる現象として知られる [1]。スリランカは新原生代に起きた東西ゴンドワナ大陸の衝突境界に位置し、南インドや東南極に隣接していたとされる。スリランカはNdモデル年代、地質構造、岩相及びU-Pbジルコン年代から4つの岩体に区分されている[2, 3]。北東―南西方向にのびる岩体として、北から順にワンニ岩体、ハイランド岩体、ヴィジャヤン岩体に区分され、ワンニ岩体とハイランド岩体の境界にカドゥガンナワ岩体が位置する[4]。ハイランド岩体は主にグラニュライト相の変成岩類が分布し[2, 3]、カドゥガンナワ岩体とハイランド岩体の境界付近を中心に超高温変成岩類の産出が報告されている[2, 3]。カタラガマクリッペはヴィジャヤン岩体内に位置するハイランド岩体起源のクリッペであるが[4]、これまでに超高温変成作用の報告はない。そこで本研究では、カタラガマクリッペで採取された現地性転石の黒雲母―珪線石―ザクロ石片麻岩にternary feldspar温度計[5]とZr-in-rutile温度計[6]を適用し、同片麻岩が超高温変成作用を経験した可能性を検討した。
本研究で用いた片麻岩の片麻状構造は、粗粒なザクロ石およびメソパーサイトの配列、石英リボンの伸び方向で定義される。主要構成鉱物はザクロ石、珪線石、黒雲母、石英、斜長石、カリ長石、パーサイトおよびメソパーサイトである。副成分鉱物は藍晶石、スピネル、ジルコン、モナズ石、燐灰石、ルチル、イルメナイト、石墨および磁硫鉄鉱である。ザクロ石は、長径数mm-1 cmの粗粒ザクロ石、および粒径数100 µmの粒子が産する。珪線石は、粗粒ザクロ石のモートに取り囲まれるように産する。藍晶石は、粗粒ザクロ石に単相で包有される粒径約3 µmの粒子のほか、ザクロ石のクラックを埋める石英+藍晶石の集合体として産する。スピネルは、単相またはスピネル+珪線石±イルメナイトとしてザクロ石に包有される。メソパーサイトは、長径数mmの粗粒な粒子に加え、粒径数100 µmの粒子がマトリクスに産する一方、粗粒ザクロ石および石英に包有されるメソパーサイトは粒径100 µm程度である。ルチルは、イルメナイトのラメラをしばしば有し、粗粒ザクロ石および珪線石中に多相固体包有物(ルチル±イルメナイト±石英)として産するほか、ザクロ石、メソパーサイト、珪線石、および石英に単相で包有され、また、マトリクスに産する。
先行研究[7]をふまえて圧力を7 kbar以上と仮定し、メソパーサイトにternary feldspar温度計[5]を適用したところ、産状に関わらず900℃を超える温度が得られた。また、ルチルは産状に関わらず幅広いZr濃度を示す (約400-4300 ppm)。このうち、Zr-in-rutile温度計[6]で900℃以上(7 kbar)を与える粒子は、珪線石に包有される単相のルチル、および粗粒ザクロ石に包有される単相および多相固体包有物中のルチルであった。以上から、本試料中のメソパーサイトとルチルは、超高温変成作用を記録しており、カタラガマクリッペが超高温変成作用を経験した可能性が高いと言える。
引用文献[1] Harley 2021 Encyclopedia of Geology [2] Osanai et al. 2016 JMPS [3] Sajeev & Osanai 2004 J. Pet. [4] 1:100,000 Geological map of Sri Lanka, Sheet 21. Geological Survey and Mines Bureau of Sri Lanka 2002 [5] Fuhrman & Lindsley 1988 Am. Min. [6] Tomkins et al. 2007 JMG [7] Raase & Schenk 1994 Precam. Res.

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