講演情報
[T4-P-18]希ガス・ハロゲンによる沈み込み帯プレート境界域の流体流動の定量化:白亜紀三波川変成帯・白髪山蛇紋岩体の例★2026年度学生優秀発表賞受賞★
*會田 幸樹1、任 杰2、ウォリス サイモン1、角野 浩史3、纐纈 佑衣4、永冶 方敬5 (1. 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻、2. 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系、3. 東京大学先端科学技術研究センター、4. 名古屋大学大学院環境学研究科、5. 早稲田大学地球科学専修)
キーワード:
蛇紋岩、希ガス、ハロゲン、沈み込み帯、岩石-流体反応
沈み込み帯のウェッジマントルと沈み込むスラブの境界域では,活発な流体の流動が予想されており,スロー地震活動との関係も指摘されている.このような流体が沈み込むスラブのどの部分の脱水に由来し,どのような経路をたどって,どのような混合比で混ざり合って流動しているのか,その描像はいまだ描かれていない.
本研究では,白亜紀沈み込みプロセスをよく保存する西南日本白亜紀三波川変成帯中のウェッジマントル起源の高知県白髪山蛇紋岩体に着目した.この岩体の東縁部には,Siに富む層が分布しており,蛇紋岩体と周囲の泥質片岩の境界は過去のスラブ-マントル境界に相当すると考えられている.この境界を横断するようにサンプリングされた試料に対し,希ガス・ハロゲン分析を適用した.希ガス・ハロゲンは,沈み込み帯に流体を持ち込むリザーバー(海洋堆積物間隙水,変質海洋地殻玄武岩,蛇紋岩化したリソスフェリックマントルの3つに大別)ごとに特徴的な同位体比・元素比をもち,化学的に不活性であることから,流体の起源を推定する地球化学トレーサーとして強力である.
本発表では,各試料の希ガス・ハロゲンの分析結果をもとに,定量的な流体混合モデルをMCMC法(マルコフ連鎖モンテカルロ法)によって計算した結果を紹介する.モデルの収束性評価と混合比計算結果から,①段階的なスラブ物質の脱水による希ガス濃度が変化していたこと,②ウェッジマントル内部に堆積物起源流体が段階的に浸透していること,③沈み込み帯深部での蛇紋岩化スラブマントルの脱水に由来する水流体がウェッジマントル側の剪断帯へ収束して流れていたことを示し,流体流動と地震発生との関係性を議論する.
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