講演情報

[T9-O-1]研究施設等廃棄物の埋設事業の概要と技術開発状況について

*島田 耕史1、北谷 光1、稲田 拓実1、新里 忠史2、加藤 智子1、小曽根 健嗣1、仲田 久和1 (1. 日本原子力研究開発機構 埋設事業センター、2. 日本原子力研究開発機構 バックエンド領域)
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キーワード:

研究施設等廃棄物、埋設事業、浅地中処分、地学的課題

 日本原子力研究開発機構は、2008年に全国各地の研究機関、大学、民間企業、医療機関等で発生する多種多様な低レベル放射性廃棄物(以下「研究施設等廃棄物」という。)の埋設処分の実施主体に位置づけられた。当機構の埋設事業センターでは、我が国における一般的な立地条件を想定した概念設計を2012年までに実施した(天澤ほか, 2011, 2012)。
 現在は立地場所が未決定であるため、概念設計で設定された汎用(ジェネリック)地盤モデルを用い、処分施設の設計や安全評価にむけた技術的検討と、概念設計の更新を継続している(坂井ほか, 2013; 菅谷ほか, 2021; 佐久間ほか, 2022; 岩村ほか, 2024; 北谷ほか, 2025など)。これまで、研究施設等廃棄物の埋設事業は、地質学会学術大会でほとんど紹介されたことがないため、事業の概要と研究開発状況を紹介する。
 研究施設等廃棄物の埋設方法は浅地中処分であり、トレンチ型埋設とピット型埋設の二種類がある。概念設計では、トレンチ型埋設は地下数mの位置に放射能レベルが極めて低い廃棄体等を、ピット型埋設は地下20m程度の位置に埋設設備(コンクリートピット)を設け、放射能レベルが低い廃棄体等を、それぞれ埋設する(図1)。トレンチ埋設施設は地下水に廃棄物が直接接触しないよう、地下水位よりも上方に設置する。廃棄体層の上方は、上部覆土・粘土層・排水層・保護土によって順に覆い、表面には雨水排水を促す勾配をつける。ピット埋設施設は、ボーリング調査で実施される標準貫入試験のN値が50超であることを目安とする安定した岩盤に設置する。ピット上面と側面は地下水面以深に設置されることを考慮してベントナイト混合土層で覆うことにより廃棄体と水との接触を抑制し、その上方は側部覆土・覆土・表層覆土により覆う。概念設計で想定されている事業所の広さは1km 四方程度を見込み、トレンチ埋設施設は底面寸法約14~15 m×120~260 mを18区画、ピット埋設施設は底面寸法約110m×200~250mを2区画設け、ピット埋設においては各区画に約36m×40mの箱状の鉄筋コンクリート躯体を8基または10基配置する。
 このような広い敷地面積を確保でき、かつ地下水面が地表直下ではなく比較的安定している地形として、台地・海成段丘・河成段丘が候補として挙げられる。なお、研究施設等廃棄物ではない(発電所由来の)低レベル放射性廃棄物の埋設施設の先行サイトは海成段丘上に位置している。立地場所が決定した後の現地における地学的課題は、気象観測、降水量設定、地下水位観測、地下水流動に係る地盤パラメータ設定、施設設置岩盤深度の設定や、許可基準規則注1) が示す要求に対応する地盤の変形に関する評価、地震や津波等による損傷の防止に係る評価等、多岐にわたる。例えば、地下水位は、トレンチ埋設施設の設計下端深度を左右する重要なパラメータであり、現在のジェネリック地盤モデルでは、平均地下水面を地表下5m、季節変動幅を2mとして地表下4~6mと設定している(図1)。さらに、ピット埋設施設は地下水面以深に設置される想定であり、核種は土壌層の帯水層中及び岩盤中を地下水流動によって移行する。地下水位設定と地下水流動解析は設計・安全評価の根幹をなすが、立地未定の現段階では現地のデータは得ることができない。そのため、様々なパラメータ設定に対応可能な地下水流動解析技術の向上を進めている。本発表では、埋設事業の概要や許可基準規則における要求事項とともに、これらの技術開発状況を報告する。
注1) 第二種廃棄物埋設施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則
参考文献
天澤ほか, 2011, JAEA-Technology 2010-043
天澤ほか, 2012, JAEA-Technology 2012-031
岩村ほか, 2024, JAEA-Review 2024-032
北谷ほか, 2025, JAEA-Technology 2025-011
坂井ほか, 2013, JAEA-Technology 2013-039
佐久間ほか, 2022, JAEA Technology 2022-013
菅谷ほか, 2021, JAEA-Technology 2021-004

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