講演情報

[T9-O-2]地層処分に係る自然現象の影響評価

*川村 淳1、西山 成哲1 (1. 日本原子力研究開発機構)
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キーワード:

地層処分、自然現象、地質環境、影響評価モデル・シナリオ、論証ダイヤグラム

【はじめに】
地層処分の安全評価においては、過去から現在までに生じている自然現象の活動性を評価した上で、将来数万年以上の長期にわたる自然現象の発生や変遷の予測、及び、それに起因する地質環境への影響を適切に評価し、考慮する必要がある。適切な影響評価を実施するためにはモデルやシナリオを構築する必要があるが、それらの信頼性や妥当性を提示するためには、それらの影響の程度などについて既往の調査・研究事例に基づく科学的な根拠を明示することが重要となる。
これまでに原子力機構が取り組んだ事例として川村ほか(2010)では、自然現象を発端とし、それが地質環境条件(温度、水理、力学、化学、幾何形状)に影響を与え、更にその影響が処分環境に伝播するという影響評価モデル・シナリオ構築までの一連の流れを「作業フレーム」として検討・提示した。作業フレームに基づく、自然現象から影響評価解析まで実施した例としては、隆起・侵食を対象とした江橋ほか(2009)、Miyahara et al. (2011)などがあるが、自然現象のどのような情報を用い、それらからどのように考えて物質移行パラメータを設定したかなどの考察の過程が全て明示されているわけではない。このため、自然現象から影響評価まで、必要とされる情報は何で、それからどのように考解析パラメータ設定したかの論拠を整理し提示可能な一連の作業フレームについて、再度検討しておくことは重要と考えられる。
そこで我々は川村ほか(2010)の作業フレームに基づき影響評価モデル・シナリオ構築のため、特に自然現象やそれによる地質環境条件への影響やその蓋然性等に着目した課題と、その課題解決のための論証データの整理に関する方法論を検討した。
ある設定した課題を構造的に論証するための手法として、課題に対する論証・反証を繰り返しながら論拠を提示する討論ダイヤグラムに基づく手法が提示されている(大澤,2010)。ここでは、討論ダイヤグラムを参考に簡略化し、根拠に対してさらに補強の根拠を論述する形式のいわゆる「論証ダイヤグラム」としての整理を試みた。
【検討内容】
本検討では、発端となる課題として川村ほか(2010)に提示した「自然現象について科学的に確からしい影響評価をすることができる」を設定し、具体的な現象を対象としてリバイスを試みた。我々はその課題に対してブレインストーミング的に「何を明示する必要があるか」について論議し、その結果として「現象理解」、「事象の顕著な場所/そうでない場所の検討」、「将来予測、その条件の検討」、「地質環境への影響の検討」、「地質環境への影響の概念モデル化」及び「検討すべきシナリオの抽出」のカテゴリーを設定した。そののち、それぞれについて何を論拠して提示すべきか、そのために必要な情報や参照先等について討論し、マインドママップソフトウェアを利用し構造的な整理を試行した。
その結果、設定した課題に対して、必要となる自然現象や地質環境条件に関する研究内容や成果情報が明確にでき、影響評価に資するための概念モデルやシナリオ構築のための成果情報の流れを明示できる見通しを得た。また、自然現象の研究成果から蓋然性が高いことが論証可能な概念モデルの構築が可能であるため、概念モデルに基づいて構築される評価シナリオの重要性についても客観的な判定が可能となる見通しを得た。
このような検討は、重点的に蓄積する必要がある科学的知見のほか、解析ケースなどが多岐にわたり膨大な作業量になると考えられる影響評価に関する解析作業の優先順位などの検討に資すると考えられる。また、自然現象の研究者をはじめ影響評価・シナリオ構築に関する専門家を交えたより体系的な議論が可能となるものと思われる。
【引用文献】
川村ほか(2010):JAEA-Research 2010-027.
江橋ほか(2009):JAEA-Research 2008-117.
Miyahara et al., (2011): Journal of NUCLEAR SCIENCE and TECHNOLOGY.
大澤(2010):日本情報経営学会誌,Vol.31,No.2,pp.66-78.

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