講演情報
[T9-O-3]河川環境下におけるベントナイト層の性状と浸食速度の推定
*菊池 亮佑1、佐藤 努1、W. Russell Alexander2、伊藤 雅和3、Heini M. Reijonen4、横山 信吾5 (1. 北海道大学、2. Bedrock Geosciences、3. クニミネ工業、4. Geological Survey of Finland、5. 電力中央研究所)
キーワード:
ベントナイト、浸食、河川、緩衝材、地層処分
高い膨潤性を持つベントナイトは止水材として広く用いられる鉱物資源であるが、溶質の希薄な地表/地下水との長期接触によって浸食あるいは膨出し、密度が低下することで止水性などの機能を損なう懸念がある。天然環境における長期的な地表水との相互作用の実態を明らかにするため、山形県月布川の河床に露出するベントナイト層から鉛直ボーリングコアを採取し、現在検証を進めている。得られたベントナイトの性状に加え、複数の異なる方法によってベントナイト層の浸食速度を推定した試みについて報告する。
調査地域の山形県大江町には、新第三紀中新統の海成層である泥質岩および凝灰岩が広く分布し、厚さ数cmから数mのベントナイト層が侠在している。このうち、水沢層幸生火砕岩部層中に挟在しているベントナイト層が河床に露出している地点でボーリングによるコア試料を2本(河床面から深さ5.45、5.15 m)採取した。併せて河川水の水質を、現場での測定およびICP-AES・イオンクロマトグラフィーによって調べた。解体後のベントナイトについて、各深度の密度・含水比・飽和度・メチレンブルー吸着量・交換性陽イオン組成などを調べ、またXRFによる全岩化学組成やX線回折に基づく鉱物組成の確認を行った。
河川水の化学組成は希薄な氷河地下水に類似していた。陽イオンの合計電荷は1.2 mMであり、季節による多少の変動を考慮しても、膨出が起こりうる環境(8 mM以下)が想定される。2本のコア試料はどちらも表層から最深部までベントナイト層のみで構成されていた。鉛直方向の密度変化はほぼ見られず、膨出による密度低下は起きていないことが分かった。一方、表層に近いほど交換性Ca、Mgに富み、深部でNaに富む傾向から、河川水とベントナイト層の間でのイオン交換が進行していることが分かる。また、掘削現場での観察から、ベントナイト層が周囲の堆積岩(シルト岩や砂質凝灰岩)と比べて選択的に浸食されている様子は見られず、これらの岩石は同程度の速度で浸食が進んでいると推測される。より具体的な浸食挙動を評価するため、①周辺地域の高度分散量、②河岸段丘の比高と形成年代、③河川水から供給されるイオンのベントナイト中での拡散プロファイル、の異なる3つ観点からそれぞれ浸食速度を推定した。いずれの手法からも調査対象のベントナイト層の浸食速度はおよそ0.1 – 1 mm/yrのオーダーだと見積もられる。ベントナイト層の浸食が顕著に観察されない要因としては、(1)河川水との相互作用によって表層がCa・Mg型化することでNa型のベントナイトよりも無限膨潤しにくくなっている点や、(2)岩石としての「ベントナイト」が製品としての「ベントナイト」とは異なり、粉砕工程を経ていないため、セメンテーション作用によってモンモリロナイト粒子どうしが固着しあっている点などが候補として考えられる。こうした候補の中から、実際に浸食抑制に寄与している要因を特定するために、室内試験による検証を別途進めている。
調査地域の山形県大江町には、新第三紀中新統の海成層である泥質岩および凝灰岩が広く分布し、厚さ数cmから数mのベントナイト層が侠在している。このうち、水沢層幸生火砕岩部層中に挟在しているベントナイト層が河床に露出している地点でボーリングによるコア試料を2本(河床面から深さ5.45、5.15 m)採取した。併せて河川水の水質を、現場での測定およびICP-AES・イオンクロマトグラフィーによって調べた。解体後のベントナイトについて、各深度の密度・含水比・飽和度・メチレンブルー吸着量・交換性陽イオン組成などを調べ、またXRFによる全岩化学組成やX線回折に基づく鉱物組成の確認を行った。
河川水の化学組成は希薄な氷河地下水に類似していた。陽イオンの合計電荷は1.2 mMであり、季節による多少の変動を考慮しても、膨出が起こりうる環境(8 mM以下)が想定される。2本のコア試料はどちらも表層から最深部までベントナイト層のみで構成されていた。鉛直方向の密度変化はほぼ見られず、膨出による密度低下は起きていないことが分かった。一方、表層に近いほど交換性Ca、Mgに富み、深部でNaに富む傾向から、河川水とベントナイト層の間でのイオン交換が進行していることが分かる。また、掘削現場での観察から、ベントナイト層が周囲の堆積岩(シルト岩や砂質凝灰岩)と比べて選択的に浸食されている様子は見られず、これらの岩石は同程度の速度で浸食が進んでいると推測される。より具体的な浸食挙動を評価するため、①周辺地域の高度分散量、②河岸段丘の比高と形成年代、③河川水から供給されるイオンのベントナイト中での拡散プロファイル、の異なる3つ観点からそれぞれ浸食速度を推定した。いずれの手法からも調査対象のベントナイト層の浸食速度はおよそ0.1 – 1 mm/yrのオーダーだと見積もられる。ベントナイト層の浸食が顕著に観察されない要因としては、(1)河川水との相互作用によって表層がCa・Mg型化することでNa型のベントナイトよりも無限膨潤しにくくなっている点や、(2)岩石としての「ベントナイト」が製品としての「ベントナイト」とは異なり、粉砕工程を経ていないため、セメンテーション作用によってモンモリロナイト粒子どうしが固着しあっている点などが候補として考えられる。こうした候補の中から、実際に浸食抑制に寄与している要因を特定するために、室内試験による検証を別途進めている。
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